ゴルファーであれば誰もが大事だと認識するコンペ、試合などであれば、どうしても緊張して体がリキんでしまうものではないでしょうか。頭では「練習場のようにリラックスしてプレーしよう」と思っていても、自分よりアベレージスコアが高い人とのラウンド、ライバル視している人とのラウンド、目上の人かつ技術力がある人とラウンドなどになれば「いいスウィングをしたい」「いいスコアでまわりたい」「いい評価がもらいたい」と力が入ってしまい、練習のようにスムーズにスウィングができないということも体験があるのではないでしょうか。しかし、気心を知れた仲間とのラウンドであれば当然、上記に比べてリラックスしてプレーできるはずです。同じゴルフなはずなのにメンバーや条件が変われば人は感情も変化し、そして体の状態も変化します。
では何が原因で私たちは大事だと認識する場面で緊張をしてしまうのでしょうか。そのひとつの答えが「囚われ」です。ここでいう囚われとは漢字を見ても分かるにように「箱の中に閉じ込められている状態」だと考えてください。この囚われ状態を私は「インザボックス」と呼んでいます。
私たちは無意識のうちにすぐにこの箱を作りインザボックスになってしまいます。どんな箱があるかと言えば「他者評価を気にするという箱」「結果(スコア)ばかりを気にするという箱」「過去のミスに執着するという箱」などがあります。あなたはどの箱に入ってしまうことが多いでしょうか?
数多くのプロゴルファーやアマチュアゴルファーのメンタルコーチをする中で選手たちをインザボックスにさせ、緊張やプレッシャーになる要因は
・過去と同じミスが起きてしまうかもしれない(イップスが出てしまうかもしれない)
・結果を出さないと応援してくれる人やスポンサーに申し訳ない
・予選通過できなかったら、上位にいけないかもしれない
・ライバルは同伴プレーヤーとのプレーやスコアの比較
などがあります。
では、どうすれば上記のようなインザボックスから抜け出すことができ、気心知れた仲間とラウンドするような開放感ある状態でゴルフをすることができるのでしょうか?
答えは簡単です。インザボックスの箱から外に出ればいいのです。別の言い方をすれば「主観視→客観視」に変えるのです。
例えばあなたの後輩のゴルファーが前のホールのミスばかりを気にして「なんでミスしたんだろう。ああしておけば、こうしておけば」とつぶやいていたとしたらあなたは客観的にどんなアドバイスをするでしょうか。「切り替えて次のホールでいい球打とうよ」などと言うかもしれません。この後輩ゴルファーのように人はすぐに自分の思考の癖で過去、未来、他者評価を考えインザボックスになってしまいます。そのときに客観的に外から「今の自分はどうすべき?」を考えることがカギになります。
実際によく競技ゴルファーにリクエストするインザボックス解消法は「セルフキャディー」をつくることです。自分を客観視してくれる自分を外に作っておくのです。緊張感や不安や迷いを感じたときはセルフキャディーに聞くのです。「どうしたらいい? 何に集中すべき?」と。そうすると「前のミスはしょうがない。次いつものスウィングを意識しよう」「未来のスコアではなく目の前のワンプレーに集中しよう」「他人のスコアやプレーも気になるけど今日の自分のテーマは何だった? そこを意識しよう」などとアドバイスしてくれるはずです。このように外からの意見やアドバイスを客観的にもらうことで自然とインザボックスから抜け出すことができるのです。
今回は大事だと認識するゴルフでの緊張や体の力みにどう対処すべきかというテーマで進めてきました。私たちをインザボックスにしてしまうのは自分の主観であり、客観視することで箱から出て囚われが少なくなり自分らしくプレーできるというものでした。ぜひ、ご自身のゴルフにも活かしてみてはいかがでしょうか。