PGAツアーでもっとも多くのギャラリーを集めるWMフェニックス・オープンはサンデーバック9で一時10人以上が2打差にひしめく混戦模様となった。決着はプレーオフ。昨季の年間王者パトリック・キャントレーに挑んだのはツアー未勝利の25歳スコッティ・シェフラー。そしてサドンデス3ホール目で8メートルのバーディパットを沈めたシェフラーが念願の初優勝を飾った。

190センチの巨漢の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。グリーンサイドから猛ダッシュで駆け寄ってきた小柄な妻メレディスさんと抱き合い「彼女には苦労をかけてきたから」とシェフラーは泣き笑いで至福の瞬間を謳歌した。

前日62をマークし44位タイから一気に3位タイに浮上すると最終組で回った最終日は13番から3連続バーディでトップを脅かす。さらに17番のバーディで首位を行くキャントレーに並びかけた。最終18番はおよそ3メートルのバーディパットを決めていれば勝ちだったが惜しくも外れてパー止まり。直近の6試合で3勝目を目指す世界ランク4位とのプレーオフに挑むことになった。

プレーオフのキャントレーは決してAゲームではない。珍しくショットを曲げラフからグリーンを狙うシーンが続く。そしてシェフラーに歓喜の瞬間が訪れる。3ホール目で相手よりも遠いところから起死回生のバーディ奪取! 勝てそうで勝てなかった日々にピリオドを打ちようやくツアー1勝目を挙げたのだ。

19-20年シーズンは未勝利ながら優勝を挙げていたビクター・ホブランドを制しルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。そのシーズンのフェデックスポイントランクは5位。ルーキーとは思えない活躍ぶりだったがデビューから2位2回、3位3回、ベスト10入り16回を数えながら優勝は遠かった。

それだけに勝利を決めた瞬間、こみ上げてくる涙が止まらなかった。「これまでの努力が報われた。こんなにうれしいことはない」と勝利の美酒に酔いしれた。

画像: 健闘を称えあうサーヒス・ティガーラ(左)とスコッティ・シェフラー(右)。シェフラーは念願の初優勝、ティガーラは勝てなかったもののギャラリーの心をつかんだ(写真はWMフェニックス・オープン 撮影/GettyImages)

健闘を称えあうサーヒス・ティガーラ(左)とスコッティ・シェフラー(右)。シェフラーは念願の初優勝、ティガーラは勝てなかったもののギャラリーの心をつかんだ(写真はWMフェニックス・オープン 撮影/GettyImages)

その影で真逆の意味で涙を流した選手がいる。ツアールーキーながら初日からトーナメントを引っ張りあと一歩で完全優勝に手が届くはずだったサーヒス・ティガーラだ。

カリフォルニア出身24歳のインド系アメリカ人はメジャーチャンピオンや世界ランカーが後続に控えプレッシャーがかかる中、16番までキャントレーと並びトップに立っていた。しかしゴルフの神様は時に残酷だ。ワンオンを狙える17番パー4でティショットがグリーンを越え、奥の池まで転がりそして消えた。

痛恨の池ぽちゃ。イーグルも望めるホールでボギーを叩き優勝争いから脱落した。結果は自己ベストの3位タイ。だが目指していたのは優勝だっただけに落胆は大きかった。

カリフォルニアから会場のアリゾナに駆けつけた家族に迎えられると悔しさが込み上げ、戦況を語りながらしやくり上げるように嗚咽を繰り返した。主催者推薦で出場権を得たルーキーの野望は無残にも砕け散った。だがティガーラが世界のゴルフファンにその存在をアピールしたことだけは間違いない。

ゴルフチャンネルで解説していた杉澤伸章氏のこの言葉が印象に残る。「彼はこの大会のMVPじゃないですか」。泣くな、ティガーラ!

画像: 青木瀬令奈プロ初登場!最も得意な9番ウッドの打ち方と練習法を詳しく解説します【女子プロ】【ショートウッド】 youtu.be

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