タイガー・ウッズ財団主催のジェネシス招待は予選ラウンドで2日連続63をはじき出した23歳のホアキン・ニーマンの完全優勝で幕を閉じた。初日から首位を独走し最終日も11番のチップインイーグルで後続に5打差をつけ圧勝ムードが漂った。しかしコリン・モリカワの追撃もあり最後は苦しい展開に。それでも2打差で勝利を飾るとセルヒオ・ガルシアやカルロス・オルティスらラテン系の仲間に出迎えされ瞳を潤ませた。

小高い丘の上にあるリビエラCCのクラブハウスは雲ひとつない青空をバックにカリフォルニアの午後の日差しを受け美しく輝いていた。

スコアカードを提出したあと主役のニーマンは表彰式に向かうためクラブハウスから大会ホストのタイガーと並び18番グリーンへと続く階段を降りた。「週末(の2日間)が1カ月にも感じられた」という厳しい戦いを終えた23歳は重圧から解放され爽やかな笑顔を浮かべながら隣のタイガーと視線を交わした。

憧れの人からトロフィーを授与されギャラリーの喝采を浴びる。それこそ誰もが夢見る瞬間だ。20歳年下のニーマンを見つめるタイガーもすべてを包み込むような満面の笑みで勝者を祝福した。

昨年末、長男チャーリー君と親子大会に出場して以来の公の場。土曜日にテレビの解説を務めたタイガーにマスターズのメインMCを務めるジム・ナンス氏がこう問いかけた。「ツアーに復帰する時期は近づいていますか?」

画像: 今年はマスターズのチャンピオンズディナーに出席予定だというタイガー・ウッズ(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/姉崎正)

今年はマスターズのチャンピオンズディナーに出席予定だというタイガー・ウッズ(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/姉崎正)

するとタイガーはむしろ明るい表情を浮かべ「わかりません。本当はいつ復帰するかをお伝えしたいのですが、まだゴルフが固まっていないというか。ショートゲームはすごくいい状態だし、アイアンもかなりいいけれど長いクラブはまだまだ。それから歩くことに関しても改善しなくてはなりません。1年前の事故で歩けなくなる可能性もありましたからね。それには時間がかかるでしょう」

「この先のスケジュールが立てられない状況はスラストレーションが溜まります。もちろんよくはなっていますが自分も思っているようなスピードでの回復ではありません。年齢的なものもあるし回復の遅れもストレスになります」と歯がゆい現状を口にした。

それでも昨年は事故から2カ月しかたっていなかったため参加できなかったマスターズのチャンピオンズディナーには出席する意向だという。今年はディフェンディングチャンピオンの松山英樹がディナーの献立を考え歴代覇者に振る舞う番。和食好きを公言するタイガーは寿司を所望しているというが……?

ベン・ホーガンが生死を彷徨う大事故から復帰し全米オープンで優勝を飾ったのは9カ月後。タイガーもチャンピオンズディナーだけでなくマスターズ本戦で復帰するサプライズがあってもおかしくない。

「勝てると思えなければ競技に復帰はできない」と語るタイガー。マスターズでの復帰がなければ7月聖地セントアンドリュースで開催される第150回全英オープンを復帰戦に選ぶのか? ツアーの舞台に立たなくてもタイガーは依然としてゴルフ界の主役だ。

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