今シーズンもっとも難しいセッティング&コンディションとなったPGAツアーフロリダシリーズ第2戦アーノルド・パーマー招待は接戦の末スコッティ・シェフラーが1打差で優勝を飾った。19年のデビュー以来勝てそうで勝てなかった男が2月のWMフェニックス・オープンで初優勝を挙げると直近の3試合で2勝と大ブレイク。ベテランに見えるがまだ25歳の大器が覚醒した。

目まぐるしく変わる風向き。鉄板のように硬いグリーン。池絡みのトリッキーなホール。まるでメジャーのような厳しいセッティングで我慢比べとなったトーナメントで最後に笑ったのはシェフラーだ。

故パーマー氏の冠大会に勝てば3年シード(通常大会は2年シード)、フェデックスカップポイントも550ポイント(通常500ポイント)の特典が付くプレミア大会。タイガー・ウッズが得意としたベイヒルGCでの勝利に「ここで勝てたことを誇りに思う」というシェフラーが今回獲得したのは216万ドル(約2億4500万円)と破格。

“キング”と呼ばれたレジェンド、パーマー氏は50年に及ぶ現役生活で726試合に出場。ツアー史上5番目に多い通算62勝を挙げ、うちメジャー7勝、キャリアトータルで2位が38回、3位を27回マークしている。

しかしPGAツアーが置かれた状況は今とはまったく違うためキングの生涯獲得賞金は186万ドル強、つまり2億円をわずかに超えただけ。すなわち今回シェフラーが1試合で獲得した賞金はキングが50年間で積み上げた額の116パーセントに達する計算になる。

画像: 2019年鳴り物入りでデビューし、ずっと勝てなかったS・シェフラーだがWMフェニックス・オープンの優勝を機に覚醒。同じく今季2勝の松山英樹を抜いて賞金ランキングトップになった(写真は2022年アーノルド・パーマー招待 撮影/GettyImages)

2019年鳴り物入りでデビューし、ずっと勝てなかったS・シェフラーだがWMフェニックス・オープンの優勝を機に覚醒。同じく今季2勝の松山英樹を抜いて賞金ランキングトップになった(写真は2022年アーノルド・パーマー招待 撮影/GettyImages)

タイガーが90年代後半にゴルフ界に登場し巨額な放映権料がツアーに入るようになったときも賞金額が倍増し驚かされたものだが近年の賞金上昇率はまさにバブル。それが弾けずに続いているのだから驚く。

次週行われる第5のメジャー、ザ・プレーヤーズ選手権の賞金総額はツアー史上最高の2千万ドル(約23億円)。優勝賞金は360万ドルだから1試合で4億円超えの時代がやってきた。

PGAツアーが威信をかけて開催するフラッグシップトーナメントには世界ランクトップ50のうち48人がエントリーしているが、昨年史上最年長メジャーチャンピオンに輝き、最近サウジスーパーリーグを巡る発言でしばらくゴルフを離れると語ったフィル・ミケルソンと歴代チャンピオンのひとりリッキー・ファウラーは出場を逃した。

ファウラーはアーノルド・パーマー招待で優勝しなければ09年のデビュー以来連続出場していたザ・プレーヤーズ選手権に出られない状況で55位タイに終わり万事休す。「すごく悔しい。優勝した経験もあるし、絶対に外したくない試合だからね」というが「ゴルフの調子は徐々に戻っている」と前を向いた。しかし現状は世界ランク122位に低迷しておりツアー屈指の人気者にとって厳しい戦いが続くことになりそうだ。

最終日、難コンディションで2アンダーをマークし58位タイから一気に20位タイまで順位を上げた松山英樹は、肩と首に不安を抱えているが手負いのゴルファーほど怖いといわれる世界。優勝すれば4億円の大会に勝てば一気に怪我の痛みも吹き飛ぶ?

画像: 【ゴルフレッスン】狩野舞子、苦手のフェアウェイウッドは劇的改善!5Wでグリーンに乗せるにはどうすれば?【小澤美奈瀬】【フェアウェイウッド】 youtu.be

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