すべてのゴルファーあこがれの場所「オーガスタ ナショナル ゴルフクラブ」。「マスターズ」が開催されるこの美しいコースの魅力を写真家・宮本卓が語る
MAGNORIA LANE マグノリアレーン
ゴルフを愛するものにとって、あこがれの場所といえば、セントアンドリュースのスウィルカンブリッジと並んでオーガスタのマグノリアレーンが挙げられるだろう。マグノリア(モクレン科のタイサンボク)の木に囲まれた並木道を通り過ぎたところにクラブハウスがある。
「メンバーズオンリー」の看板を曲がると、強面のセキュリティが制止を促す。メンバーか、特別の許可を得たものだけが通れるゲート。許可証を見せると白い歯を見せ笑顔で「ウェルカム!!」と迎えてくれる。
そこから距離にして300メートルほど。1秒でも長くこの気持ちを愉しみたい。恍惚の想いで、この並木道をゆっくり、ゆっくりと車を走らせる。しかし車のスピードとは反対に、鼓動は次第に速くなっていく。
木漏れ日が車内を照らした。遠くにマスターズのロゴを形取った黄色い花が見えてくる。車内の同乗者は一様に興奮している。それはニクラスやプレーヤーも同じだ。
マグノリアの大きい白い花びらがあちらこちらに落ちている。ボビー・ジョーンズが初めてこの地を訪れたときから、このマグノリアレーンはあり、クラブハウスはこの果樹園のオーナーのバークマン男爵の邸宅だった。ジョーンズは、このときの印象を大事にしたかった。
オーガスタを舞台に例えるならばこのマグノリアレーンはまさしく〝レッドカーペット〞。選手は最高の演技をし、観客は万雷の拍手で称える。
それがマスターズなのだ。