松山英樹の連覇がかかった22年のマスターズは2日目から首位を快走したスコッティ・シェフラーが逃げ切ってメジャー初優勝を飾った。2月のWMフェニックスオープンで初優勝すると5試合で3勝を挙げ瞬く間に世界ランク1位に躍り出た直後の戴冠。絶好調だっただけに当たり前に勝ったように思えるが本人の中には大きな葛藤があったようだ。今年のマスターズをプレーバック。
画像: 2022年大躍進したスコッティ・シェフラーのアスターズ最終日のエピソード(撮影/Blue Sky Photos)

2022年大躍進したスコッティ・シェフラーのアスターズ最終日のエピソード(撮影/Blue Sky Photos)

最終日にローリー・マキロイが8アンダー64をマークし1時間以上前にホールアウト。通算7アンダーでクラブハウスリーダーとなったが、最終組のシェフラーは余裕のゴルフでただひとり二桁アンダー(10アンダー)に乗せ3打差をつけグリーンジャケットに袖を通した。

「落ち着いているように見えたかもしれないけれど実際はすごく緊張していました。ヒデキならわかってくれると思いますが(メジャーの最終日は)ものすごく1日が長い。とてもタフでした」

ゴルファーなら誰もがマスターズでの優勝を夢見るがシェフラーもまた然り。しかし本人は「自分が優勝できるような選手になれるか半信半疑でした。ただオーガスタの舞台に立てるだけでいいという思いで懸命に努力してきました」という。

1996年テキサス州ダラスで生まれ3姉妹に囲まれ男ひとりで育った彼はアマチュア時代から卓越したゴルフセンスを発揮し17年の全米オープンでローアマに輝くとプロ入りしてからもわずか1シーズンでコーンフェリーツアー(下部ツアー)を卒業。PGAツアーのルーキーイヤー(20年)には未勝利ながらポイントランク5位に入り新人王にも輝いた。

しかし常に上位争いしながら優勝は遠く初勝利が今年の2月。そしてマスターズで勝つまでの2カ月間で4勝を挙げ名実ともにトップランカーの仲間入りをした。

マスターズ最終日の前夜は「疲れていたし緊張する暇もなくぐっすり眠った」というが、翌朝はまったく違った。メジャーの最終日最終組のスタートは遅い。午前中は待機なのだがその時間がとてつもなく長く感じた。

「今朝(最終日の朝)、僕は赤ん坊のように泣きじゃくりました。すごくストレスを感じていたから。どうしていいかわからなくてメレディス(妻)にこういったんです。自分にはこの状況に耐える準備ができていない。それを何度も繰り返し訴えました」

すると彼女は「何が最善かは私たちが決めることではないわ。すベては神様の思し召し。もし今日があなたの日ならそうなるわ、と。それを聞いて僕はもし82を打ったとしてもそれは神様の決めたことなんだと自分に言い聞かせたのです」

190センチ、90キロの巨漢が妻の前にひざまずいて赤ん坊のように泣きじゃくる。メジャーに勝つことのプレッシャーがいかなるものか、その光景が示している。

ゴルフに簡単はない。ましてメジャーでは我々の想像も及ばない心理戦が展開されているのだ。それにしてもシェフラーがまだ26歳だとは。老けすぎと思うのは私だけだろうか。

画像: 勝利を手にして帰還した夫を迎える妻のメレディスさん。彼女の支えがマスターズ優勝を手繰り寄せた(撮影/Blue Sky Photos)

勝利を手にして帰還した夫を迎える妻のメレディスさん。彼女の支えがマスターズ優勝を手繰り寄せた(撮影/Blue Sky Photos)

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