すべてのゴルファーあこがれの場所「オーガスタ ナショナル ゴルフクラブ」。「マスターズ」が開催されるこの美しいコースの魅力を写真家・宮本卓が語る

Bobby Jones ボビー・ジョーンズ

 年間グランドスラムを唯一達成したことがあるのは、後にも先にもボビー・ジョーンズだけだ。彼は、ただゴルフが上手かっただけではない。ジョージア工科大学で機械工学を学び、ハーバード大学で英文学の学位をとり、エモリー大学の法学院に入学し2年目の途中で州の司法試験に合格し、退学して弁護士を開業した。

 ゴルフはそういうさなかでやっていたのだから恐れいる。トーナメントに出た回数が非常に少なかったのには、こういった事情があったのだ。
 自分の時間のほとんどを学生時代は勉強に、結婚すれば家族に、そして弁護士としての仕事、あるいは一市民としてボランティアに費やした。

 晩年のインタビューでは次のように語っている。
「私の頭の中には、何よりもまず妻と子供が先にあった。その次が自分の職業。そしてゴルフは最後だった。私はゴルフが人生だと思ったことは一度もない」

 1934年にマスターズが始まって88年が過ぎた。ボビー・ジョーンズは、この大会を通じて何を伝えたかったのか?
単なる成績だけを争う大会ではなく、このコースに集まった人たちが、それぞれ何かを感じ、何かを思い、ゴルフというスポーツの素晴らしさを享受する。

 間もなく日が沈もうとしている。黄金色に輝くボビー・ジョーンズの日時計から発するものを静かに受け止める。

今夜もまたマスターズの夢を見よう。

画像: 写真・文/宮本 卓 1957年7月10日、和歌山県生まれ。1987年より海外に活動の拠点を移し、マスターズをはじめとするメジャーの取材だけでも100試合を超える。単にゴルフゲームを追うだけではなく、光と影を巧みに利用し、その奥に潜む人間の真理を表現。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員

写真・文/宮本 卓
1957年7月10日、和歌山県生まれ。1987年より海外に活動の拠点を移し、マスターズをはじめとするメジャーの取材だけでも100試合を超える。単にゴルフゲームを追うだけではなく、光と影を巧みに利用し、その奥に潜む人間の真理を表現。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員

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