ゴルフでいいパフォーマンスを出すためにはまず目の前の一打に集中することが大切だが、これがなかなか難しい。プロも教えるメンタルコーチ・池努に、そのコツを教えてもらおう。

「ゴルフは目の前の一打に集中することが大事だ。だから目の前のワンプレー以外のことを考えてはいけない」。誰もがそう思うものですが、難しいですよね。

そもそも人は「このホールは前も打ってしまったな」「ミスは続けてはいけないけどミスのイメージばかりする」「後半うまくいけばスコアが出る。ミスしないように」などと、行動に対し不安要素をなくし、事前にミスへの対処なども準備しておきたいので、ボールの前に立った際にさまざまな思考、そして連想が浮かんでしまうものです。そして、それらの連想に伴い感情にも不安や焦りなどが発生します。

画像: 目の前の一打に集中するためのコツとは?

目の前の一打に集中するためのコツとは?

そんな状況で「集中しよう、集中しよう」「ほかのことを考えてはいけない」「ワンプレーに目を向けよう」とセルフトーク(自己対話)すればするほど、むしろ目の前のプレーではなくほかのことを意識してしまうんです。「集中しよう、失敗は考えるな」「集中しよう、他者目線は気にするな」と強く考えれば考えるほど集中できなくなってしまう矛盾が起こるわけえです。このように、意識的にゴルファーが一打に集中することは決して簡単ではないんですね。

そこで今回は一打に集中するためのテクニック3選をシェアしていきます。あなたに適したものをぜひ試してみてほしいと思います。

まず1つ目が「動物を演じてみる(視覚・体感覚を意識する)」ことです。

動物は人間ほど前頭葉が発達しておらず思考より感覚、いわゆる本能で行動していきます。そして感覚を頼りにする動物は失敗が少ないです。猫がブロック塀の上に飛び上がるときに失敗する光景を見たことがありませんよね。あなたが集中しているときも、ある意味動物的な状態に近く、思考より「こんな感じで振る」というイメージ(視覚)、「こんな感じで体を使う」という(体感覚)、感覚を使っているはずです。

これまでサポートしてきたゴルファーに「いいゴルフができているときはどんな状態ですか?」と質問すると、「次どんなプレーをするかというイメージが浮かんできて体は勝手に動く感じですね」と言われる選手が多いです。このように思考ではなく、感覚に注意を向けることで集中状態にアプローチできます。コツは自分がしなやかな動物になったかのように動物を演じていくことです。

2つ目が「ルーティンロボットになる」ことです。ショットやパターを打つ前のルーティンを決め、そのルーティンの順序、リズム、タイミングをロボットになったかのように守っていくんです。

打つことに集中すると「ミスしたらどうしよう」「上手くいかなかったらどうしよう」と思考がうずまいてくるものです。しかし、ルーティンを丁寧に決めたリズムで遂行することに注意を向けることで、自然と練習でやってきたスウィングやストロークになりやすいです。自分がロボットになったかのように感情を差し込まず、ルーティンを遂行していきましょう。

3つ目は「いい悪いという解釈をやめてみる」ことです。

誰もが今日のゴルフは調子がいい、悪いという解釈をしています。もし、一打への集中を上げたいなら、これをやめてみることを薦めます。

ゴルフの集中を妨げるのは「目の前の一打に関係ない思考」――過去の失敗、未来の不安、他者目線です。「前みたいにショートしたら」「またミスが起きるかも」「ミスをしたら恥ずかしい」などと考えてしまうのは目の前の一打には関係のない思考ですし、むしろこの考え、解釈が出ることで感情はネガティブになり、身体は緊張から硬直するなどの反応につながります。

・前のホールにミスをした→ひとつのただの出来事でいい悪いはない
・次ミスをするかも→ミスをすることは必ずあること。

といったように、プレーのひとつひとつをいい悪いで解釈し一喜一憂することが減れば、目の前のワンプレーへ自然と注意が向いていきますし、「ミスをしてはいけない」などととらわれる思考も減ります。

今回は、一打に集中するためのテクニック3選ということでシェアしていきました。もちろんこれらがすべてではありませんが、集中できないと悩んでいる方は3選のうち、自分にあっているもので試していみると良いと思います。

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