リストターンを抑え体のローテーション量とスピードを上げることで、ボールにパワーを伝えて重心距離が長い現代のドライバーを使いこなしている欧米の若いプロたち。アマチュアに真似できるポイントはあるのか? プロコーチ・内藤雄士が解説!

いま、PGAツアーには大きな世代交代の波が訪れています。2022年3月14日現在、世界ランクのトップ5は全員が20代。トップ20を見ても33歳以上の選手は3人しかいません。とくに、24~25歳の選手の成長は著しく、今後この世代がツアーを席巻する可能性もあると、私は考えています。

さて、そのなかでも目覚ましい活躍を見せているのが、ノルウェーの新鋭、ビクトル・ホブラン(24歳)です。ホブランのスウィングはいかにも今どき。フェースをシャットに(閉じて)使い、腕の振りを抑えて体のローテーションで打っていく、近年の若手の間で主流になっているスウィングと言えるでしょう。

 基本的に、リストターンを使うほどスピードは出ますし、球はつかまりやすくなります。しかし、フェースローテーションが大きくなるので、反復性や安定感が失われる恐れもあるわけです。

とくに、シャフトが長く、重心距離の長い現代のクラブは、いったんフェースが開くとスクェアに戻りにくいという性質があります。だから、選手たちはリストターンやフェースローテーションを、極力抑えたいと考えているのです。

そこで、若手に多く取り入れられているのが、フェースをシャットに(閉じて)使うスウィングです。フェースをシャットに使うことで球をつかまえる準備をしておき、リストターンを抑え、体のローテーションの量、スピードを上げることで球にパワーを伝えていくのです。

 まず、ホブランは左手をかなりストロングに握り、ハンドファーストに構えることで、球をつかまえる準備をしています。ここから左手首を掌屈させて(手のひら側に折って)いくため、バックスウィング、トップでは、フェースがかなり閉じた状態になっているのがわかります。

画像: ストロンググリップで左手首を掌屈させるので、バックスウィング、トップ、ダウンスウィングのフェース向きはかなりシャットになっている *バックスウィングではフェースが地面に向くほどシャット(閉じている)、トップではフェースが上を向くほどシャットと判断できる

ストロンググリップで左手首を掌屈させるので、バックスウィング、トップ、ダウンスウィングのフェース向きはかなりシャットになっている *バックスウィングではフェースが地面に向くほどシャット(閉じている)、トップではフェースが上を向くほどシャットと判断できる

 この、フェースを閉じて球がつかまる状態を作ったら、あとは体のローテーションで打っていくだけです。インパクトで右ひじが曲がっているのは腕のローテーションを抑えた証拠。フォローでフェースが見えるのは、フェースを返していない(リストターンを抑えた)証拠です。

 右わきを締め、体を回しているだけなので、クラブは常に体の正面にあります。フィニッシュで右肩がここまで回っているのに、クラブが走り切っていないのは、腕の振りを使わず、体のローテーションだけでスウィングした結果と言えるでしょう。

画像: ブランのように、フェースをシャットに使って腕の振りを抑え、体のローテーションで打つスウィングは、現代のクラブ(長尺、大型ヘッド、大慣性モーメントのクラブ)を使いこなすための、ひとつの大きな答えとなっている

ブランのように、フェースをシャットに使って腕の振りを抑え、体のローテーションで打つスウィングは、現代のクラブ(長尺、大型ヘッド、大慣性モーメントのクラブ)を使いこなすための、ひとつの大きな答えとなっている

さて、そんなホブランのスウィングですが、みなさんに参考にしていただきたいのは、彼のバックスウィングです。

 驚くことに、ホブランは手元が耳まで上がった時点で、すでに胸が90度以上回っています。おそらく、トップでは、肩が100度以上回っているのではないでしょうか。

 この、体をしっかり回すバックスウィングをマネしてほしいのです。もちろん、ホブランと同じだけ体を回すのは難しいと思います。でも、今よりも体の回旋量を増やすことで、様々なメリットがあるからです。

 まず、体の回旋量が増えれば、自然に腕の運動量が減ります。アマチュアの多くは腕の使い過ぎでショットの精度を落としてるので、その矯正に役立つのです。

 また、体の回旋量が増えれば、スピードも出ますし、インサイドからボールをとらえやすくなります。つまり、飛距離不足やスライスに悩んでいる人にも効果があるというわけです。

 このとき、下半身を固定して肩だけを回そうとすると、体は回りにくくなるので注意します。よく、「肩を回せ」などと言いますが、肩だけを意識しても、体というのは上手く回らないのです。

 体が硬くて回らないという人は、腰の回旋量を増やしてみるとよいでしょう。バックスウィングするとき、ベルトのバックルを目標の反対方向に向けていくと、体を回しやすくなるので試してみてください。

画像: トップでシャフトがクロスしている(目標の右を差している)のは、体の回旋量が人一倍多いため。シャフトがクロスするのはいけないと言われるが、体の回旋量が多い人がクロスするのは問題ない

トップでシャフトがクロスしている(目標の右を差している)のは、体の回旋量が人一倍多いため。シャフトがクロスするのはいけないと言われるが、体の回旋量が多い人がクロスするのは問題ない

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