ウェッジがアイアンセットから独立して、単品で売られるようになってからというもの、ひとつのブランドでも多くのバリエーションが存在するようになった。人気ウェッジのニューモデルにトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが注目した。
画像: 同じような名前、形状、ロフト、そして種類の多さ、最近のゴルフブームを支える新規参入のゴルファーにとってウェッジはもっとも戸惑うクラブかもしれない

同じような名前、形状、ロフト、そして種類の多さ、最近のゴルフブームを支える新規参入のゴルファーにとってウェッジはもっとも戸惑うクラブかもしれない

昨今は、価値観が多様化したと言われている。ゴルフクラブでも、バリエーションが増えて、選択肢が豊富になったとよく評価される。ところが面白いもので、ゴルファーの嗜好はむしろ集中しているフシがある。

今年のドライバー市場であれば、テーラーメイドの「ステルス」シリーズが圧倒的な人気でロケットスタートを果たした。そして、ウェッジの領域では長きに渡って、圧倒的な店頭人気の高さを誇るのが、タイトリスト『ボーケイ』ウェッジだ。つい先だってまで、「SM8」と『ボーケイ フォージド』の2機種が大きなシェアをもっていたが、この3月に最新作の「SM9」が発売された。

あまりクラブに詳しくないゴルファーであれば、同じような名前と形状で何が違うのかよくわからないという人も多いかもしれない。6種類ものソール形状やロフト角の種類の豊富さに戸惑っている人もいるだろう。

NEWモデルの「SM9」だが、たしかにパッと見は大きな違いはないように感じられるが、プロや上級者が求める細やかなリクエストに対応して、進化を続けている。まず、定評のある形状にも改良が加えられた。ヒールからリーディングエッジのつながりをよりスムーズにして、スクエアに見えやすくしている。トップブレードは厚みが増したが、エッジに研磨を入れて、構えたときにロフト別で違和感がないように整えられている。

もっとも大きく、と言っても繊細に変わったのが重心設定だ。以前から定評のある「プログレッシブCG」と「フォワードCG」は踏襲しているが、インパクト時のヘッド挙動を安定させ、さらに少し低めの弾道イメージが出しやすい設定になっている。これは旧溝時代に技術を養ったプレーヤーにも違和感なく、強いスピンのかかった低い弾道が出やすくなるようにという意図があるという。

さらに、ラフやバンカーでのスピン性能を高めるため、精密に加工された新しい溝を採用。さらに、溝を入れた後に再度フェースの平面性加工をいれて、あらゆる局面でよりスピンがかかりやすくなっているという。

これだけ支持されているウェッジはそれほど大きくは変えられない。微妙に、かつ確実に進化した「SM9」は、プロのスイッチもスムーズで、キャメロン・スミスをはじめとして、すでにツアー優勝者も現れている。

画像: ボーケイは「SM9」が登場。プロがスムーズにチェンジしたのを見ても、確実に進化したことがわかる

ボーケイは「SM9」が登場。プロがスムーズにチェンジしたのを見ても、確実に進化したことがわかる

「ボーケイ」のひとり勝ちにストップをかけるべく、テーラーメイド「MG3」やキャロウェイ「JAWS」シリーズなど、各社から有力モデルが発売されているが、その本命になりそうなのが、ピンの新製品「グライド 4.0」だ。

「グライド 4.0」は、昨年発売された「グライドフォージド プロ」と比べるとヘッドサイズが大きく、よりやさしいモデルという位置づけ。ソール形状とロフト角のバリエーションも豊富にラインナップされている。

前作の「グライド 3.0」もやさしくて扱いやすいとロングセラーになっていたが、NEWモデルではこれまでの431ステンレス製から、8620カーボンスチール製に変更。昔から、ステンレス製ウェッジに定評のあったピンが、いわゆる軟鉄素材の採用に踏み切ったわけだ。これは数年前にクロムモリブデン鋼から軟鉄鍛造に変更したフォーティーンのケースに似ている。※「グライドフォージド プロ」は軟鉄製

前作よりさらに大きな「エラストマーCTP」と呼ばれる樹脂素材をバックフェースに搭載し、周辺重量配分とヘッド拡大に寄与するとともに、より軟らかな打感も生み出している。ソール形状はピン伝統の「EYE2」グラインドを含む4種類がラインナップされている。

さらに今回は、以前からピンが積極的におこなっているライ角フィッティングをプロモーションで展開するということで、こちらも注目したいところだ。ライ角が変わると、方向性だけでなく、打感やソールの抜けなど多くの面に影響が出る。ソール形状やライ角など、このあたりのウェッジ知識が増えてくると、クラブ選びも楽しくなりそうだ。

画像: 軟鉄製のヘッドに樹脂素材を搭載し、4種類のソール形状をラインナップするピン 「グライド4.0」

軟鉄製のヘッドに樹脂素材を搭載し、4種類のソール形状をラインナップするピン 「グライド4.0」

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