すべてのゴルファーあこがれの場所「オーガスタ ナショナル ゴルフクラブ」。「マスターズ」が開催されるこの美しいコースの魅力を写真家・宮本卓が語る

Augusta National Women’s Amateur オーガスタナショナル女子アマチュア

 オーガスタへと向かう機中で『グリーンブック』という映画を観た。時代背景は1962年、黒人ピアニストとイタリア系アメリカ人の運転手兼ボディーガードがアメリカの深南部を旅する話だ。当時まだまだアフリカ系アメリカ人には差別が当たり前のように行われていた時代だった。

 アトランタからオーガスタに車で移動しながら、その頃のことをふと想像してみた。第一次世界大戦の余韻が冷めやらぬ1934年に第1回が行われたマスターズも、ずっとそんな時代背景のなかを進んでいった。

 僕がマスターズに来るようになって35年が過ぎたが、その間も大きな変化が2度あった。1度目はなんといっても1997年のタイガーの初優勝だった。黒人選手がゴルフというスポーツの最高の舞台で頂点に立つ。この優勝が今までゴルフに関心がなかった層にまでゴルフの魅力を伝えた。

 そして2019年、もうひとつの大きな出来事があった。あのオーガスタナショナルで女性のアマチュアの試合が始まったことだ。まさかオーガスタが、このような大会の開催に踏み切るとは誰が想像できただろうか。

 毎年いろいろな改革にチャレンジしてきたが、そのほとんどはコース改造などの部分だった。

 記念すべき最初のオナラリースタートに呼ばれたのはパク・セリ、ロレーナ・オチョア、ナンシー・ロペス、アニカ・ソレンスタム。4人の笑顔に希望が見えたような気がする。

 心地よい風が1番ホールを駆け抜けた。

画像: 写真・文/宮本 卓 1957年7月10日、和歌山県生まれ。1987年より海外に活動の拠点を移し、マスターズをはじめとするメジャーの取材だけでも100試合を超える。単にゴルフゲームを追うだけではなく、光と影を巧みに利用し、その奥に潜む人間の真理を表現。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員

写真・文/宮本 卓
1957年7月10日、和歌山県生まれ。1987年より海外に活動の拠点を移し、マスターズをはじめとするメジャーの取材だけでも100試合を超える。単にゴルフゲームを追うだけではなく、光と影を巧みに利用し、その奥に潜む人間の真理を表現。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員

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