昨年のバレロ・テキサス・オープンで4年ぶりの復活優勝を果たしたスピースにとってRBCヘリテイジでの勝利は約1年ぶりの通算13勝目。最終日を首位と3打差の9位タイから出ると最終日は前半2つのパー5で2イーグルを奪って上位争いに割って入り最終18番で値千金のバーディを奪い通算13アンダーでクラブハウスリーダーに。
その後昨年の年間王者パトリック・キャントレーがスピースに並びかけ、結果はサドンデスのプレーオフにもつれ込んだ。
「ラウンド中より(プレーオフを)待っている間のほうが緊張した。もしチャンスがあるなら18番のバーディのお陰と思っていたけれど本当にその通りになった。いくらいいプレーをしてもほかの選手がもっといいゴルフをすれば勝てない。今日もいいプレーはしたけれど優勝するには少し足りないかと思っていたけれど違ったね」
プレーオフでは1ホール目のセカンドショットが2人とも同じバンカーにつかまったが「キャントレーより自分のほうがライがよかった」とピンそばにピタリと寄せてタップインパー。目玉からの1打がピンを大きくオーバーしたキャントレーがパーをセーブできずスピースが栄冠に輝いた。
その瞬間サミーくんを抱いたアーニーさんがスピースに向かって猛ダッシュでハグ&キス。生後5カ月のサミーくんが夫婦の間に挟まり激しく上下に揺れた。
3日目はパターが決まらずスラストレーションが溜まるラウンド。その様子を見たアーニーさんは決戦前夜(土曜の夜)ゴルフについて何も語らずただ「5秒待ってね」という言葉を繰り返した。
「タップインの距離にパットを寄せても焦ってすぐに打たず5秒数えてから打ってという意味。ミスをしてもカッカせず5秒間を置いてね。最終日はアーニーのアドバイスがずっと頭の中にあった」と内助の功を口にした。
前週、優勝経験もあり得意のマスターズでは悔しい思いをした。「1年で一番好きなトーナメントではじめて予選落ち。今年も優勝を狙っていたのにグリーン上がまったくダメで本当に悔しかった。人生最悪の気分だった」
マスターズでは累計25から49ラウンドの部門でスピースは唯一平均スコア70台(70.46)でトップ。2位のダスティン・ジョンソン、3位のローリー・マキロイが71台だからオーガスタはスピースにとって最高に相性がいいコースなのだ。そこで人生最悪の気分を味わった直後の試合でリベンジを果たしたのだから今回の勝利には意義がある。
「ショットはこの春すごく調子がいい。あとはパットだと思って今週は徹底的に練習グリーンで時間を費やした」
その甲斐あって勝負どころでパットを決めトロフィーを手中に収めた。
「今朝も息子と一緒に過ごしてきた。子供といる時間はすべてを忘れられる。いい朝を過ごして爽快な気持ちでゴルフと向き合うことができた」
父親としての幸せを噛み締めながらスピースは来月の全米プロでキャリアグランドスラムを目指す。