ジョン・ラーム、トニー・フィナウ、ジェイソン・デイなど。近年、PGAツアーではトップを小さくして飛ばす選手が増えています。
そんなプレーヤーに共通しているのは、スウィング中の体の捻転量が非常に大きいということです。トップをコンパクトにすることで失われるスピードを、体を大きく回旋させ、切り返しで捻転差を生み出すことで補い、飛距離と方向性を両立させているのです。
今回取り上げるブルックス・ケプカなどは、そんな捻転差で飛ばすプレーヤーの代表と言えます。
まずはバックスウィングに注目してください。クラブが地面と平行になったポジションでは、胸がほぼ目標の反対方向に向いているのがわかります。後方からの写真を見ても、胸がここまで回っているのに、クラブヘッドはまだ腰の下にあるのです。
これは、腕をまったく使わず、体の回旋だけでバックスウィングしている証拠。クラブが地面と平行になるポジションで、胸がここまで回っている選手は、PGAツアーでもそれほど多くはありません。
次に、ダウンスウィングを見てください。胸がまだ目標の反対を向いているにもかかわらず、ベルトのバックルはボールの先を指し、上半身と下半身に大きな捻転差が生まれていることがわかります。
また、これだけ捻転差がある状態で、右ひじがこの位置に来ている点も見逃せません。これは、彼の柔軟性が非常に高い証拠と言えます。
鍛え上げられたボディと高い柔軟性、そして、切り返しの大きな捻転差。これがケプカの圧倒的な飛距離の源なのです。
ただ、飛距離が出ても、球が曲がってしまっては意味がありません。パワーが大きければ大きいほど、それをコントロールする力も必要になるわけです。
ここで注目したいのは、アドレスからフォローまで、両わきが締まり、常に腕とクラブが体の正面にあるということです。この時点でまだ腕とクラブが体の幅から外れていないことがわかります。これができるからこそ、並み外れたスピードでスウィングしつつも、ボールを正確にコントロールできるのです。
さて、そんなケプカですが、彼のスウィングを参考にするのであれば、やはりその回旋量をマネしてもらいたいと思います。
アマチュアゴルファーの多くは、体の回旋量が少ないために、スピードも出ないし、クラブが外から下りやすいという傾向があります。だから、体の回旋量を増やすことは、上達を目指す上で大きなテーマになるからです。
体の回旋量を増やすためには、手先の動きをなるべく抑え、体の動きでバックスウィングしていくことが大切です。テークバックでは、ヘッドを置き去りにしたまま腰と胸を回旋させ、体が回ってから、ヘッドが最後に上がっていくようなイメージがあるとよいでしょう。
これができると、クラブヘッドはややアウトサイドに上がるようになります。ケプカのバックスウィングを見ると、手元よりもヘッドが外にあり、右手のひらがボールに向いているのがわかります。この形をマネるのです。
体の回旋量が増えれば、飛距離も出やすくなるし、ボールをインサイドからとらえやすくなるので、是非チャレンジしてもらいたいと思います。