マスターズで最終日に64をマークしキャリアグランドスラム達成のための最後の1ピース(マスターズ以外のメジャーはすでに制覇している)まであと一歩の単独2位に入って以来の出場だったこともあり、ディフェンディングチャンピオンのマキロイにはギャラリーの熱視線が注がれた。
ところが予選ラウンドでは本領発揮とならずカットラインぎりぎりの50位タイで決勝ラウンドに滑り込む事態に。そして裏街道(10番スタート)から出た3日目、厳しい降雨のコンディションに各選手スコアメイクに苦しむ中2アンダー68をマークし一気に6位タイに浮上した。
首位と6打差からスタートした最終日は一時3打差の射程圏内に詰め寄ったが最終ホールで2.5メートルを外してボギー。2日連続68に止まり勝ったホマに4打差の単独5位で4日間の戦いを終えた。
しかし連覇は逃したものの表情は明るく「すごくいいプレーができている」と手応えを口にしたマキロイ。では勝ち切れなかった理由はいったい?
「打つべきショットの選択ミス」と即答した本人。「たとえば16番のセカンドショットはウェッジのフルショットで狙ったけれどマウンドに着弾してスピンバック。グリーンの外に押し戻された。もしあそこで9番アイアンを持ってコントロールしていればグリーンを外すことはなかったと思う。ただ良いショットを打つだけでなく、その状況に見合った正しい選択をすることがこの舞台では重要」
「でもそれは(正しい選択をするには)こういう経験を実際にトーナメントの場で経験することでしか学べない」。
ツアー20勝の永久シード選手であるマキロイでさえ、その場に合った最適な選択はなんなのかに迷い、ミスから学び、実戦で活かす努力を繰り返しているのだ。
今回学んだことは2週間後に迫ったメジャー、全米プロゴルフ選手権に生かされるに違いない。全米プロのあとは6月の全米オープンに向けギアをトップに入れるつもりだ。
ちなみに6月はジャック・ニクラスがホストを務めるメモリアルトーナメント、RBCカナディアン・オープン、全米オープン、トラベラーズと4試合連続で出場する予定。連覇を逃して掴んだ課題を胸にメジャーシーズンでのリベンジを誓っている。
6月はグレッグ・ノーマン率いる新興のサウジゴルフリーグが開幕する。外野はその話題で持ちきりだが「PGAツアーに専念する」と宣言しているマキロイの心は揺るがない。14年に全米プロで優勝して以来メジャータイトルから遠ざかっているが今年はマキロイの雄叫びが聞ける……かもしれない。
(写真/Blue Sky Photos)