フェアウェイキープ率は14分の14で100パーセント。パーオン率も18分の15で83パーセント。27パットにまとめ1イーグル、5バーディと完璧な内容。
「スタート直後の2番でイーグルを奪うことができて流れをつかめました」という畑岡は記者会見で「Perfect(完璧)」「Really good(凄く良かった)」という単語を何度も繰り返した。
LAオープンで優勝後、一時帰国。宮崎でおこなわれていた日本のナショナルチームの合宿に合流。アマチュア時代から信頼するトレーナーと会って特別なトレーニングメニューをこなしてきた。トンボ帰りをして「先週の『パブロベンダーズ』に出ようと思っていましたが、お休みさせてもらって今週ギアを一段上げてきました」。
その言葉通りショット、パットともに手応えじゅうぶんの様子で「マネジメントも上手くいっているしフィーリングも良いので明日からもこの流れを途切らせないように頑張ります」、……いつも思うが声が可愛い。
記者から「ずいぶん英語が上達しましたね?」と褒められると「英語? ゴルフの練習よりも英語の練習のほうに力を入れていますから(笑)」と言って周囲を笑顔にする余裕も。
アマチュアで日本女子オープン史上最年少優勝を果たし17年に渡米。米ツアー本格参戦を果たすとこれまでに6勝を挙げ現在世界ランク6位と押しも押されぬ、トッププロのひとりである。
アメリカでの知名度も上がっているが残念ながらメジャーの優勝はなく、昨年の全米女子オープンでプレーオフに進出するも笹生優花に敗れ2位に終わっている。地元開催の東京オリンピックでもメダルを逃し日本勢世界ランク最上位のプライドが傷ついた。
そのせいか、いくら実績を積んでも国内メディアが注目するのは海外初挑戦でメジャー(全英女子オープン)を制したシンデレラガール渋野日向子の方。渋野が予選落ちしてもニュースになり上位争いをしてもニュースになる。いっぽう畑岡はレベルの高い米ツアーで何勝してもセンセーショナルに騒がれることはない。
日本のアマチュアを世界で戦えるレベルに押し上げたナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏は畑岡について「トータルバランスのよい選手。技術、体そして考え方やゴルフへの向き合い方が素晴らしい」という。
畑岡の凄さを日本のファンにも少しでも感じてもらえればいいのだが……。