トーマスが中盤6連続バーディを奪い猛烈な追い上げを見せたが10バーディ(2ボギー)をマークしたマキロイには敵わなかった。強敵相手に逃げ切って勝利を飾ると会場を埋め尽くしたカナダのファンから大歓声が巻き起こる。
「一生忘れられない日になった。とても幸せ」というマキロイはコロナ前の3年前には出ればトップ5とゴルフ人生のピークを謳歌していた。ところがコロナ中断後は出場21試合でトップ5入りはわずか1回。その後昨年のクエイルホローで復活優勝し、今回がアフターコロナ3勝目。
「中断があってからは自分のゴルフを根本からリセットして立て直す時間が必要だった。ゲームへの取り組み方を少し変えたことでハッピーな自分になれた」とマキロイ。
「21回目の優勝。これは誰かさんより1勝多い。やり遂げられてよかった」。誰かさん? そう、それはツアー20勝のグレッグ・ノーマンを指しての発言だろう。
カナディアン・オープンの裏で開催されたノーマン率いるLIVゴルフ初戦ではチャール・シュワーツェルが優勝し3日間で個人戦&チーム戦(ともに優勝)を合わせ6億4千万円もの大金を獲得した。日割りで計算すると1日2億1300万円、1ホール当たり1144万円、1打300万円! サウジアラビアの政府系ファンド、いやオイルマネー恐るべし!
内訳は個人戦の優勝が5億円、4人1組のチーム戦の優勝が1億4千万円で出場48名中最下位の選手にも国内ツアーの優勝賞金並みの1600万円強が与えられた。
一方カナディアン・オープンでマキロイが獲得した賞金はおよそ2億円。少し前なら1試合で2億円と聞くと驚いたものだが5億、6億という数字が出てくると2億が当たり前のように思えてくる。
これまで大会ホストを務めてきたダスティン・ジョンソンはLIVゴルフを選択しPGAツアーからの撤退を表明。主要スポンサーだったRBCの契約も解除された。今回は8位に終わったが今年8試合行われるLIVゴルフに出場すれば契約金を上回る額を回収できるだろう。今後はマスターズチャンピオンのパトリック・リード、全米オープン覇者のブライソン・デシャンボーも参戦予定だ。
そんな中マキロイは「ツアーのレガシーを受け継いでいく」という信念を貫いている。トーマス然り。8年間メジャー優勝から遠ざかっているマキロイ、全米プロに続くメジャー連覇を狙うトーマス。次週の全米オープンでは今季メジャー2試合でトップ10入りしている好調な2人の戦いに注目したい。