日本のリゾートコースの価値について考察するために、チョイス「日本のベスト100 コース」の
パネリストと選考委員会による、「日本のベストリゾートコース」の選出を試みた。
「宿泊施設」「風光明媚」「非日常を味わえる」?
”リゾート”について、あらためて考えた
日本のリゾートの多くは、居留していた宣教師などが夏季に涼しい地域を見つけ、そこに別荘を建てたことから、避暑地として発展してきたという歴史があります。明治29年アーサー・H・グルームが涼しい六甲山頂に山荘を建設し、仲間が集い、その後ゴルフ場を造ったのが日本のゴルフの始まりと同時に日本のゴルフリゾートの始まりといえるでしょう――と話すのは、コース設計家の嶋村唯史氏。
霞ヶ関CCや東京GCでは、昭和初期の当時でも、夏になるとかなり暑くなることから、涼しいところに別荘を建て、やがてゴルフ場も造ろうとなり那須GCや軽井沢GCなどのリゾートコースが誕生していったのです。
日本のリゾートコースは英国やアメリカと異なり、特殊に発展してきた
リゾートとは旅行者が宿泊し、ゲストとしてホテルなどに付帯されているコースでプレーを楽しみ、非日常を求めていく場所です。そのため誰が訪れてもいいことになります。日本でいえば川奈ホテルGCが該当するでしょう。雲仙G場は香港にいた外国人の避暑地として始まっています。
那須GC、軽井沢GCもリゾートエリアにあるコースですが、メンバーシップでパブリックコースではなく、誰もがプレーできるわけではありません。会員制コースの宿泊施設はゲストではなく、基本的に会員のためのものなので、これらのコースは日本独自に発展したリゾートといえるでしょう。――とはコース設計家の川田太三氏。
また、川田氏は、コース設計の観点からみる”リゾートコース”とは、誰が来ても楽しめること、基本的にキャディがいなく、自分たちだけで回ることから残り距離などが分かるように表示されていることが最低条件だという。さらに話題性と美しさがあり、コースのレベルが高ければ評価が高まっていく。アメリカのペブルビーチGLはその典型的な例だと言う。
リゾートの設計はその土地らしさ、借景やメモラビリティが大事
今回初めて「日本のベストリゾート30」の選出をおこないましたが、いいリゾートコースの条件として、チョイスベスト100コースのパネリストからは……
「非日常を感じることができ、普段の生活圏内を離れて、わざわざ宿泊してでも、何度もプレーしに行きたくなり、誰でも予約できる」
「良いリゾートの条件は、楽しくてまた来たいと思えることに尽きる。その条件の満たし方はさまざまで、リゾートの持つ魅力の引き出し方がどれだけあるかということだと思う」
「競技目的でなく、おもにリゾート地に併設された楽しみ中心のゴルフコース。ロッジなどの併設が普通。風光明媚なコース」
といった意見が寄せられました。
今回ランキングされたTOP30のコースは、チョイス誌の恒例企画、「日本のベスト100コース」とは趣の異なる30 コース名が挙がったのがポイント。初回のため、あえて「前調査」とし、今回の結果をもとに2年ごとにさらに具体的な調査をおこない、回を重ね、「日本のリゾートコース」をチョイス誌では勘案していく予定です。
TOP30の全コース名は、現在発売中のチョイス238号にてご覧ください。