第122回全米オープンが幕を開けた。ここ数年スコアの伸ばし合いで決着するパターンが多かったが今年は久々に全米オープンらしい名門ザ・カントリークラブが舞台。フェアウェイが狭くラフが深い。小さなグリーン周りには厄介な罠が張り巡らせられ、これぞ全米というサディスティックなセッティング。そんな中注目は2人のイングランド勢だ。

前週のRBCカナディアンオープンで最終日に60をマークし「59に手が届いたのに」と悔しがったジャスティン・ローズが2アンダー68で首位のアダム・ハドウィンに2打差の7位タイにつけた。

年間王者に輝いたこともあるイングランドのベテラン(41歳)は「思ったよりスコアが伸びて驚いた」といいつつ本人も6バーディ(4ボギー)を奪う好調なゴルフで好発進を切ると「6バーディ獲れたのが大きかった。そのお陰でミスが吸収されて全体としてはいいラウンドになった」と手応えをにじませた。

画像: 海外メジャー「全米オープン」初日を2アンダー7位タイで終えたジャスティン・ローズ(写真/Getty Images)

海外メジャー「全米オープン」初日を2アンダー7位タイで終えたジャスティン・ローズ(写真/Getty Images)

17番でロングパットを捻じ込み派手なガッツポーズで走り出したのは99年にこのコースでライダーカップ(欧米チーム対抗戦)が開催されたときジャスティン・レナードがここで15メートル近いパットを沈め熱狂したギャラリーがグリーンに雪崩れ込んだシーンのオマージュ。

「もちろんレナードを意識した。本当はもっと走り続けたかった」。99年は「プロになったばかり。どこでライダーカップを観戦したかは覚えていないけれどそのシーンは何度もリプレーされているから鮮やかに思い出せる。ここでレナードがバーディを決めオラサバルが短いチャンスを外した結果米チームが勝利したことはヨーロッパチームの追憶としても忘れられない」

もうひとりこのコース所縁(ゆかり)のプレーヤーが13年にここザ・カントリークラブで全米アマに優勝しているマシュー・フィッツパトリックだ。世界ランク1位のスコッティ・シェフラーやザンダー・シャウフェレ、ブライソン・デシャンボーらが出場した大会でマッチプレーを勝ち上がりイングランド勢としては1911年以来102年ぶりにトロフィーを掲げたのが彼。そんなこともあり今大会が始まる前から注目されていたが期待通りローズと同じ7位タイの好スタートを切った。

「ドライバーが凄くよかったしいいパットも決まってくれた。全体として今日のラウンドにはとても満足している。13年に経験しているとはいってもそのときとはまったく違うセッティング。もちろんいい思い出が残っていてここからこういうショットを打った、と思う瞬間もあったけれどあまり意識しないようにした。自分にプレッシャーをかけず好きなコースを楽しむことだけを考えた」。

記者たちが色めきだったのが「ダスティン・ジョンソンと一緒に回れて楽しかった」という彼の発言。ジョンソンは新リーグLIVゴルフに移籍しPGAツアーのメンバー資格を手放しており今後同じ舞台に上がる機会はなさそうな気配。

「(最後だから?)いやそういう意味じゃなく、DJは本当に素晴らしいプレーヤーだし人としても素晴らしい。僕のナイスショットは褒めてくれるし一緒だと楽しい。とても気さくな人なんだ」と27歳。LIVゴルフを選んだ選手たちへの風当たりが強い中、フィッツパトリックは純粋にゴルファーとしてのDJを尊敬していると語った。

午前中風が吹かなかったため初日はスコアが伸びたが明日以降は1打が明暗を分けるシビアな戦いになりそうだ。誰が有利かはまったくわからない。だが2人のイングランド勢は2日目以降も注目に値しそうだ。

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