サウジアラビアの公的資金で莫大な賞金及び契約金をまかなっている新ゴルフリーグ、LIVゴルフ。同リーグの招待シリーズ第２戦が米ポートランドのパンプキンリッジGCを舞台に開幕。大会初日はカルロス・オルティスがトップ、ダスティン・ジョンソンが2位、谷原秀人が3位タイにつけている。
個人戦優勝なら賞金は5億円。同時進行のチーム戦（4人1組）優勝で一人当たり1億4千万円だから、まだ残り２日あるものの日本人の優勝、そして日本勢4人がタッグを組んだチーム戦でのダブル優勝もあり得る状況。ダブルVなら6億４千万円。日本の平均的サラリーマンが生涯で稼ぐ給与のおよそ2倍を３日間で手にすることになる。
今大会からブライソン・デシャンボー、ブルックス・ケプカ、パトリック・リードのメジャーチャンピオンに加えアブラハム・アンサーやマシュー・ウルフらツアー優勝経験者がLIVに移籍。PGAツアーが告知している「LIVに出れば即出場停止」の警告を顧みず一説には9桁（100億円から200億円）の契約金が支払われたという情報も。
ついにカプルスもLIVゴルフについて言及。ミケルソンに「もう一緒にゴルフすることはないだろう」とまで発言した（写真／GettyImages）
この状況に物申したのがカプルス。「自分はシアトルの田舎者だけれどお金の出どころくらいは知っている。もし自分が（LIVに）行くと言ったら家族を失望させることになるだろう」
お金の出どころとはすなわちサウジアラビア。１週間ほど前911のテロ事件の被害者家族がPGAツアーの選手たちに宛てた書簡には同ツアーに残った選手たちに謝意を表し「あなたたちの仲間の一部は純粋な競技による成功の夢を簡単に稼げる血塗られたお金と交換しました」と記されている。
911テロではハイジャック犯19人のうち15人がサウジアラビア人だったことがわかっている。同国で虐殺、虐待がおこなわれている現状にも言及し「不快な真実をスポーツに投資することでカモフラージュするスポーツウォッシングに加担しなかった」選手たちに「911ファミリーのために立ち上がってくれてありがとう」と綴っているのだ。
LIVゴルフを当初から支持しているミケルソンに対しカプルスは「とても愚かだと思う」ときっぱり。「2度と話すことはないと思う。我々はもう別の船に乗ってしまったのだから。一緒にゴルフすることもないだろう。意地悪で言っているのではない。ただお互いが違う道を歩むことになったと言うこと」
3日間54ホール、予選落ちなし。年間8試合しか開催しないのにタイガーの生涯獲得賞金以上（150億円）の契約金を「払う意味がわからないし払えないと思っている」とカプルス。
LIVサイドの選手たちに言わせればあくせくせずにゆったりとプレーできるスケジュール、人生を一夜で変えるような高額賞金は大きな魅力、そしてゴルフ界の発展に寄与するのだという大義名分がある。
カプルスは言う。
「彼らはゴルフ界を変えたい、よりよくしたいと主張するのだろう。でも50年後（LIVゴルフが）どうなっているかを語る人はいない。なぜなら彼らは3年も保つかどうかわからないからだ」
