ミスしても自分を見失うことがなかった
「あらゆる物事が心地よく、穏やかに感じる」
ラウンド後のインタビューでそう語ったマキロイ。この日のプレーを象徴するような表現だ。
1番で、16メートルの下りパットを沈め、幸先よくバーディ発進したマキロイ。5番パー5では、セカンドをショートして2オンを逃すも、ロブショットでピタリと寄せバーディ。7番パー4でも、マウンドを利用した絶妙なボールコントロールでピンに寄せ、5番から3連続バーディを奪う。
13番パー4では、セカンドショットがグリーン手前のバンカーにつかまったかと思われたが、アゴで跳ね返った勢いでバンカーから飛び出るラッキーも。そのあとのアプローチが唯一「やってしまった」と振り返る大オーバー。それでも続く28メートルのパーパットを確実に寄せ、ボギーセーブ。
すると14番、最長614ヤードのパー5でセカンドをらくらくグリーンオーバーさせ、アプローチをピタリ。
最終の18番は、アイアンで1オンに成功し、25メートルのイーグルパットを30センチに寄せ、OKバーディ。
そのパワーもさることながら、終止危なげないプレーで「66」をマークした。
「すべて思うようにプレーできた。バーディが狙えるホールでバーディが取れたし、パーをセーブすべきホールでパーをセーブできた。ミスもあったけど“正しい場所”に外していたし。とにかく自分を見失うことがなかったんだ」
難関17番パー4では、残り100ヤードという絶好の位置からのセカンドを大きく左にミスしていたが、「あれも間違ったショットではない。フェアウェイだったけど、ロブウェッジでは上手くリーディングエッジを下に入れられそうにないライだったから、ギャップウェッジで抑えて打ったけど引っかかってしまった。でも、いった場所はそんなに悪い場所じゃなかったし、しっかりリカバーできた。この17番はパーで十分だと思っていたから、ミスしても冷静でいられたんだ」
最後にメジャーを制してから8年、33歳になったマキロイは、元来のアグレッシブさに冷静さが加わって、心身ともにもっとも充実した時を迎えているように見える。聖地での完全復活を期待せずにはいられない。