基本的に、コースの難易度が高くなるほど、ショットのクオリティがスコアに影響してきます。つまり、難しいコースに強いということは、ショットメーカーの証とも言えるわけです。
たとえば、今季の全米オープンを2位タイ、全米プロを単独2位と、メジャーに強さを見せるウィル・ザラトリスなどは、ショットメーカーの代表と言えます。
ドライバーは飛ぶし、なによりアイアンが上手い。PGAツアー未勝利で、平均パット数は130位にもかかわらず、PGAの賞金ランク6位、欧州ツアー1位、世界ランク13位(7月4日現在)という成績を挙げているところを見ても、そのショット力の高さが感じられるのではないでしょうか。
さて、そんなザラトリスですが、いかにも教科書どおりのスウィングが特徴です。グリップは(正面から見たとき)左手のナックルが2つ程度見えるスクェア。腕のローテーションを適度に使い、バックスウィング、ダウンスウィング、フォローと、フェースをほぼスクェアに使って球をとらえています。タイプとしては、タイガー・ウッズやアダム・スコットに近い、非常にオーソドックスなスウィングと言えるでしょう。
ここで理解してもらいたいことがひとつあります。それは、「スウィング中、腕は適度にローテーションするのが自然だ」ということです。ゴルフクラブを持って、わきを締めた状態で体を回旋させれば、バックスウィングでもフォロースルーでも、腕は自然にローテーションするものなのです。
近年、PGAでは、左手を強いストロンググリップで握り、フェースローテーションを抑えて打つ選手が増えました。このような話を聞くと、「腕はローテーションさせてはいけない」と考えてしまう人がいるのですが、それは誤解です。
腕のローテーションを抑えている選手というのは、普通にスウィングすると、ローテーションが強く入りすぎてしまう。だから、それを抑えることで、ローテーションの量を適度にしているのです。ローテーションを抑えると言っても、まったくローテーションさせないわけではないのです。
まして、アマチュアゴルファーの場合、腕のローテーションが足りないケースが多い。そういうプレーヤーがローテーションを抑えようとすれば、ローテーションの量が減りすぎて、球はつかまらなくなるし、球をコントロールできなくなってしまうので注意しなくてはいけません。
球がつかまらない、スライスする。出球が安定しないなどの悩みがある人は、腕のローテーションが上手くできていない可能性があります。そのような場合には、ザラトリスの腕の使い方を参考にするとよいでしょう。
バックスウィングでは、左腕を伸ばしたまま右腕をたたんで、クラブが右肩のラインに上がっていくように。フォローでは、左腕をたたみながら、クラブが左肩のラインへ抜けていくようにするのがポイントです。それができれば、自然な腕のローテーションを使ったスウィングができるようになるでしょう。