世界最古のトーナメントである全英オープン。今年の舞台は世界最古のゴルフ場「セントアンドリュース」。150回目を迎える今年は、まさにゴルフ競技の原点回帰。コースについて知っておくべきことは?
解説/杉澤伸章

大自然が牙をむく 超過酷な我慢比べ

コースができたのは、今から470年前の1552年と言われています。その頃の日本といえば、いわゆる戦国時代の真っ只中。そんな時代にゴルフの歴史は始まっていたというのですから驚きですね。

オールドコースには私自身も何度か訪れたことがありますが、まさに〝神と自然が造り給うたコース〞という表現にふさわしい光景が広がっています。

個人的な印象として、コース自体は木などにセパレートされていないせいか、意外と広々としています。もちろん、どこに打っても大丈夫というわけではありませんが、例えばテレビ中継でよく映る1番ホールなどは、メジャーのスタートホールとしては、比較的ラクに打っていけると言えるのではないでしょうか。

ホールごとに個性があるというよりは、ホールとホールの間に境目がないので、どのホールも似た景色に見えてしまう部分があります。だからこそターゲットが絞りにくく、イメージ作りが重要になるわけです。

画像: オールドコースの18ホールをプロキャディ杉澤伸章氏が解説(コース図 イラスト/岡部タカノブ)

オールドコースの18ホールをプロキャディ杉澤伸章氏が解説(コース図 イラスト/岡部タカノブ)

環境からくるストレスが選手を襲う

オールドコースはリンクスです。文字通り、海からの風が強く吹くことが多いため、風の攻略はマストになります。ですが風の方向は一定で、回ることが少ないため、読みやすい風ではあります。

風が読みやすくても、厄介なのはオールドコースのレイアウト。アウトから出たら18番ホールまでクラブハウスには戻ってこないレイアウトで、9番ホールを終えたところで折り返します。
要するに、アウトコースの9ホールがフォローだったら、折り返し後のインコースはアゲンストということになります。これは精神的にも体力的にもかなり消耗し、集中力がそがれる要因になります。

よく「スコットランドには、一日のうちに四季がある」と言われます。天候の変化や風の変化にいかに対応するかが勝つためには必要で、まさに自然との闘いと呼ぶにふさわしい舞台なのです。

かつてタイガー・ウッズがセントアンドリュースを制した際に「バンカーに入れないことが勝つための条件だ」と話していたように、セントアンドリュースには112個ものバンカーがあります。
ただ、ドライバーの飛距離が伸びた現代のゴルフにおいては、関係のないバンカーも多いため、タイガースタンダードと呼ばれた勝利の方程式とは違った勝ち方が見られるかもしれません。

8人で始まった世界最古のオープントーナメントですが、今年で150回目を迎えます。ゴルフの原点での熱い戦いから目が離せない4日間になるはずです。

毎回ドラマが生まれる、注目ホールをご紹介!

注目ポイントは数多くあるが、中継にこれらのホールが映った際は、スコアや順位が動くかもしれない。要注意だ!

【1H「風で難度アップ! 」】
向かい風が強くなると、2打目でグリーン手前のクリークが気になってきてしまう

【11H「屈指の難ホール 」】
風が吹くと、グリーンに乗せることさえ難しくなるパー3。後半のキーホール

【13H「3つの棺バンカー」】
3つのバンカーはまとめて〝棺〟と呼ばれている。ここだけは避けたい

【14H「名物ヘルバンカー」】
入れればジ・エンドだが、今の選手の飛距離なら苦にならないかも……

【16H「打ち下ろしに注意」】
10ヤード以上の打ち下ろしで、風の影響をかなり受ける。複雑な計算になる

【17H「ホテル越え⁉」】
ティーショットで右側のホテルを越えていかなければならない。名物パー4

【18H「クラブハウス帰還」】
大観衆が待つ中を闊歩するのは誰なのだろうか。最後まで気を抜けない

ココも見逃せない! ”あの人”の名前がついた17番のバンカー

オールドコースの名物ホールといえば17番ホール。
ティーショットはホテル越えで、グリーン奥には廃線の跡がそのまま残っている。そしてグリーン手前にはかつて中嶋常幸が脱出に4打を要したトミーズバンカーが。

今年は誰がこの罠につかまるのだろうか……

画像: my-golfdigest.jp
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