ゴルフ発祥の地であり「ホーム・オブ・ゴルフ(ゴルフの故郷)」と呼ばれるセントアンドリュースは全英初優勝した2000年に続き2005年もタイガーに優しかった。

5年ぶりに聖地に帰ってきた全英オープンは再びタイガーが主役だった。初日66、2日目67は00年の初日と2日目のスコアをひっくり返したもの。圧勝ペースが漂い、話題は誰が勝つかではなく、タイガーがどこまでスコアを伸ばすのか? 後続に何打差をつけるのか? に移っていた。
しかし3 日目71とセントアンドリュースでの連続60台の記録は途切れ最終日も70。それでも余裕で地元スコットランドの英雄、欧州ツアー7年連続賞金王のコリン・モンゴメリーに3打差をつけ全英2勝目を飾った。

画像: 2000年に続き、2005年もセントアンドリュース開催の全英オープンを制したタイガー。この年、ダブルグランドスラムも達成した(写真は2005年 全英オープン 撮影/Getty Images)

2000年に続き、2005年もセントアンドリュース開催の全英オープンを制したタイガー。この年、ダブルグランドスラムも達成した(写真は2005年 全英オープン 撮影/Getty Images)

00年は全英に勝ったことでキャリアグランドスラムを達成したが05年はそれぞれのメジャーを2度(以上)ずつ勝つダブルグランドスラムを成し遂げた。過去にジャック・ニクラスしかいないダブルグランドスラマーにタイガーは20代(29歳)で輝いたのだ。

奇しくも05年はニクラスにとって最後の全英オープンだった。予選ラウンドを新帝王(ニクラスの後継者)と呼ばれたトム・ワトソンと同組で回り最終18番では本人ではなくワトソンが、帝王(ニクラス)がセントアンドリュースに別れを告げる姿に涙したもの。

「世界で一番のお気に入りのコース」とタイガーがいうセントアンドリュースの魅力、それはニクラスやワトソンそしてその他大勢の先達が築いてきたレガシーにある。言い換えるとそれは歴史の重み。

14世紀に羊飼いが野うさぎの巣穴に棒で石を入れる遊びにこうじた時代から現在まで脈々と息づくゴルフの凝縮されたエッセンスがそこにある。

世界でもっとも有名で小さな石造りの橋=スウィルカン橋は1番と18番を横切る小川にかかっているが、歴代チャンピオンたちは必ず足を止めそこでオールドコースで戦った足跡を確かめる。

05年のニクラスもそう。いつもならリンクスを鈍色の雲が覆っているのに、その日(2日目)は爽やかな青空が広がっていた。18番のティショットを打ったあとワトソンとともにスウィルカン橋を渡り、橋の一番高いところで振り返りコースに、そしてファンに手を振って別れを告げたニクラス。

幾多のドラマをセントアンドリュースは演出し目撃してきた。タイガーも胸の高鳴りを抑えて橋を渡りR&Aの荘厳な建物の前で2個目のクラレットジャグ(優勝トロフィー)を受け取り空に掲げた。

600有余年変わらずそこにあることの奇跡。その重みをタイガーは誰よりも強く感じている。
「Home of golf」にタイガーが帰ってくる。そして我々は歴史の証人になる。

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