図らずもだが、かなり嬉しい“今日のタイガー”
おはようございます! 全英オープン特派員記者の週刊ゴルフダイジェスト編集Yグチです。
現地時間、日曜日の23時を回りました。今日はメディアセンターオープンの朝8時に会場入りし、デスク周りを準備して、すぐにコースへ行きました。
1番のティーイングエリアに行くと、なんと土曜日に続きタイガー・ウッズの姿が! 基本的に、各プロの練習ラウンドは事前に予約ができず、コースについてからの登録順なので、登録した人から順次メディアセンターの大画面にスタート時間が表示されます。
ですから、日曜日の朝イチ時点ではタイガーの名前はなく、そもそもタイガーの動向はトップシークレットなので、我々メディアにとっては一番”つかまえにくいプロ”でもあるんです。会えない週はずっと会えない、なんてこともざらなのです。
「ほかのメディアも少ないし、また撮影できるチャンスはないかもしれない」とA﨑カメラマンとうなずき合い、タイガーを追いかけました。
この日もタイガーはジャスティン・トーマス(以下JT)と一緒に練習ラウンド。この二人、ほんとうに仲がいいですね。タイガーはティーショット、2打目と一打一打の狙い所をJTに教えながら練習ラウンドしていて、まるでJTのコーチのようでした。でも、二人には練習ラウンドをおこなうときに大きな違いがあります。
JTは1球1球を計測器「GCクワッド」を置きながら打つのに対し、タイガーは自分の感触を確かめるように計器の類はいっさい置かないこと。もちろん、タイガーも練習場ではそうした機器を置くことはありますが、コースでは見かけたことはめったにありません。どちらがいい、悪いではなく、ここまで対照的なのは面白いなと感じました。
さて、練習ラウンドの話に戻りましょう。そもそもセントアンドリュース・オールドコースは風を遮る木々がなく、コースもフラットなので強風が名物です。出場するプロは、普段の試合ではキャディバッグに入れない2番アイアンや3番アイアンといったロングアイアンや、アイアン型ユーティリティを入れるのが定番。つまり、いかに風に負けない低い球で狙ったところに打てるか(タテ距離を計算しつつ)を模索してセッティングを考えます。ですので、基本的にパー4でもスプーンやロングアイアンでのティーショットが増えます。
タイガーはここで2勝をあげ、もちろん攻略法を熟知しているはずですから、「今日の練習ラウンド中にドライバーを打つのはパー5(5番ホール、14番ホール)ぐらいでしょうね」と、この道30年以上のベテランA﨑カメラマンと談笑しながら1番のティーショットを待っていました。
1番ホールこそ、距離が短く、300ヤードを越えたところに小川が流れているので、ドライバーではなかったのですが、そのあとは予想を大きく裏切られる結果に。帯同した8番ホールまでのティーショットのうち、ドライバーを5度握ったのです。この日は山から海に向かって吹く西風で、アウトコースだと左からのアゲンストになるので、距離を稼ぎたいときはドライバーでというのはわからなくもないですが、いままでのタイガーでは考えられない行動です。
これは、今のドライバーに絶対の自信があるからなのかもしれません。また、オールドコースはバンカーに入れないことが大前提ですが、タイガーは見ている限り1度もバンカーを練習しませんでした。これももうひとつの驚きです。
この練習ラウンドを見る限り、調子はそれほど悪くないようですし、5番ホール、パー5(570Y)ではアゲンストのなか楽々2オンに成功していました。
多くのゴルフファンがタイガーの復活優勝を心待ちにしていると思います。それが全英オープンというメジャーで、しかも150回記念大会、そして会場は“ゴルフの聖地”セントアンドリュース・オールドコースで、というのは出来すぎでしょうか?
もちろんYグチの個人的願望はありますが、現地にいると、その偉業を期待せずにはいられない流れを感じています。
PHOTO/Tadashi Anezaki