序盤の勢いも徐々に失速……
松山英樹の聖地2日目、出だしは上々だった。1番は好調のショットで2メートルに付けてバーディ、3番は9メートル弱の長いパットを入れバーディ。この時点では松山も「波に乗っていけるかなと思った」。しかし、その後、我慢のゴルフが続く。そのうち、歯車はズレていった。
「風は頭を使う、脳が疲れる。風は敵にも味方にもなる」と、スキージャンパーで五輪メダリストの葛西紀明、小林陵侑は言っていた。聖地の風は気まぐれだ。刻々と、吹いたり凪いだり方向を変える。
13番、465Y・パー4。納得のティーショットに見えたが、ボールはコフィン(棺桶)と呼ばれるポットバンカーへ。風の魔術か、フェアウェイのアンジュレーションの悪戯か。2打目は出すだけとなり、残り153ヤードの3打目は6メートルにつける。このパーパットを外し、この日初めてのボギー。
続く14番、614Y・パー5。アゲンストのなか放ったティーショットはフェアウェイキープ。2オンして最低バーディは取りたい場面。285ヤード残った2打目は左ラフへ。どんどん気温も下がってくる。上着を着て仕切り直し、上手く打ったアプローチだが8メートルの距離を残す。バーディパットはラインに乗るもわずかに届かずパー。悔しそうな松山。すべてが少しずつ噛み合わない。
15番、455Y・パー4 。安定のティーショット。160ヤード弱の2打目は少し風に戻されたかグリーン手前16ヤードに。上って下る難しいラインのパットを惜しくも外しパー。
その後、難しい16番、17番を連続ボギーとし、スタート前のスコアに戻ってしまった。
「ショット、ショートゲーム、パターも上手くいかないなかで、最後のほうはマネジメントもミスが多かった。もったいない一日だった」
18番 、356Y・パー4。見せ場でもある最終ホールは、ティーショットをグリーン手前まで運び、パターで50センチに寄せてしっかりバーディ。この日のスコアはイーブン。2日間トータルは、1アンダー。ギャラリーの歓声と西日を浴びながら21時の5分前、ホールアウトした。
この日の朝、パッティング練習中に見た、タイガー・ウッズが聖地の18番でプレーする姿。「もしかしたら、セントアンドリュースでの最後の姿だったかもしれない。そういうところを見られたのはよかった」。松山自身は、今年もあと2日、ここに立つ。
「まず、バーディチャンスを作らないとパッティングに集中できないと思う。明日いいスコアで回って、明後日もいいフィニッシュができるようにしたい」
気持ちを胸に込めて、明日からまた、自分のラウンドに集中する。
Photo/姉﨑正