最終日は2人のキャメロン(スミス&ヤング)に4打差の首位タイからスタートしたマキロイとビクトル・ホブランの一騎打ちになるかと思われた。しかしゴルフの神様が用意したのはまったく別のシナリオ。トップの2人がこう着状態でなかなかチャンスをものにできない中、1組前のスミスがパットを決めまくり8アンダー64をマーク。3月のプレーヤーズ選手権(第5のメジャー)に続きビッグタイトルを獲得した。
スミスに1打ビハインドで18番のティーに立ったマキロイ。優勝には最終ホールでイーグルが必要だった。しかしその前にスミスが18番でバーディを奪ったためイーグルでも追いつけない状況に陥った。
マキロイとホブランがティーショットを打ちグリーンに向かって歩き始めると四方八方からギャラリーがコースに雪崩れ込んだ。彼らはマキロイの名前を叫びながら150代チャンピオンにもっとも相応しい男の背中を追いかけた。
スウィルカン橋を俯いて渡るマキロイ。
グリーン手前の罪の谷からアプローチを打った第2打は奥まで転がりイーグルならず。バーディパットも決まらず前の組のヤングの19アンダーにも並ぶことができなかった。結局3位で終戦。
すると彼は帽子を取り18番のギャラリースタンド、振り返って1番のスタンドそしてグリーンを取り囲むファンに向かって拍手を贈った。「今日のファンは素晴らしかった。信じられないくらいの声援をもらいました。本当は皆にお返しがしたかったけれど」。
最後までギャラリーは祈った。タイガーが聖地を去った150回大会でポストタイガーの騎手と呼ばれ続けたマキロイが優勝することを。最高の舞台での8年ぶりメジャー勝利を逃した彼はそれでも気丈に唇を噛み締め感情を押し殺し悔し涙を流すことはなかった。
「今週は自分より上手の選手にやられました。このコースで4日間20アンダーまで伸ばしたのは凄い。しかも最終日に64をマークしたんだから」と勝者を讃えたマキロイ。
穏やかに聖地の日は暮れていった。最初で最後の150回大会に勝ったのはスミスだがセントアンドリュースのファンが冠を授けたのは別の人物だった。