第150回全英オープンはオーストラリアの28歳キャメロン・スミスの優勝で幕を閉じた。人々の多くがトップタイからスタートしたローリー・マキロイの勝利を祈る中、スミスはアウェーの空気をものともせず8アンダー、64をマーク。00年にタイガー・ウッズが叩き出したセントアンドリュースでの最少ストロークV記録を塗り替えメジャー初の栄冠に輝いた。

「やっと息が吸えます」と優勝を決めた直後のインタビューで言ったスミス。世界でもっとも有名なゴルフの聖地セントアンドリュースで節目の記念大会を制したというのに感情を爆発させることなく淡々とした受け応えだ。

「上がり4ホールか5ホールはすごく難しいので自分がやるべきことに集中しました。我慢してやり遂げた自分を誇りに思います。セントアンドリュースで全英オープンに勝つのはゴルファーのキャリアで最高の栄誉。それができたなんて信じられません。子供の頃から思い描いてきた夢が現実になりました」

画像: 節目の年に全英オープンで勝利するオーストラリアの選手たち。C・スミスの優勝は必然だったのかもしれない(写真/姉﨑正)

節目の年に全英オープンで勝利するオーストラリアの選手たち。C・スミスの優勝は必然だったのかもしれない(写真/姉﨑正)

オーストラリア勢で全英を制覇したのはピーター・トムソン、ケル・ネーグル、グレッグ・ノーマン、イアン・ベーカーフィンチに続き史上5人目。直近では93年のノーマン以来の快挙だが、奇しくもセントアンドリュースで開催された第100回大会に優勝したのはネーグル。そして今年150回大会を制したのがスミスだったのも何かの縁。

「それは知らなかったけれどクールですね。全英に勝つだけでも素晴らしいのにそれがセントアンドリュースとなると格別。このコースが大好きだし、この街を愛しています。50年の節目にオージーが勝つというトレンドが今後も続けばいいですね」

大好きなセントアンドリュースで勝利をどう祝うかを訊かれれ「もうクタクタなので今夜はビール2杯くらいかな。でも近々クラレットジャグで20杯飲みたい」と笑った新チャンピオン。

米ゴルフダイジェストはマキロイの優勝を阻んだ“パーティクラッシャー”、つまりパーティを台無しにした男とスミスを呼んだ。しかしそんなことは彼には関係ない。ベストを尽くし天命を待つ。マキロイも全力でオールドコースと戦ったのだ。

「マキロイほど安定感のあるゴルファーはいない。近い将来必ず彼はまたメジャーに勝つ」とスミス。もしかしたらそれは来年のマスターズになるのかもしれない。メジャー初戦を制覇すればマキロイはキャリアグランドスラムを達成することになる。来年の春を待とう。

画像: https://www.golfdigest-minna.jp/_tags/THEOPEN2022

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