前週念願の初優勝を飾ったウィル・ザラトリスが現在ポイントランク1位。3位につけるキャメロン・スミスは第2戦を欠場した。年間王者の絶好のチャンスだが今シーズン終了後にLIVゴルフ移籍が囁かれており微妙な立場に置かれている。
となると年間王者レースの本命はポイントランク2位で世界ランク1位のスコッティ・シェフラー、あるいは9位のローリー・マキロイ、10位のジャスティン・トーマスあたりといえそうだ。
プレーオフシリーズ初戦を首の痛みを訴え欠場した松山英樹には大きな記録がかかっている。それはツアー選手権への現役最長連続出場記録だ。昨季まで8年連続で最終戦にコマを進めたのは松山とパトリック・リードだけ。しかしリードはLIVゴルフに移籍したためプレーオフシリーズ出場資格を失っている。つまり松山が今年9年連続出場ならツアーで唯一の存在となる。
BMW選手権前のポイントランクは15位。大会初日34位タイとやや出遅れたが現段階の推定順位は17位。年間王者を目指すなら上位に入る必要があるが余程のことがない限りトップ30入りは確実な状況だ。
年間王者に2度輝いているマキロイでさえ17年にツアー選手権出場を逃しており今年が5年連続9回目。トーマスがツアー選手権に初出場したのは16年だから今年で7年目。この事実からも松山がいかにコンスタントに長期間に渡って第一線で活躍してきたかがわかる。
ゴルフに浮き沈みはつきもの。どんなプレーヤーにも低迷する時期はある。瞬間風速的に快進撃があっても長く続かない選手がほとんど。ハイとローの差をいかに縮めるかが重要だが松山はマスターズ優勝まで3年勝てなかった時期があるにも関わらずデビューから欠かさず最終戦出場を果たしている。これぞまさしく本物の証といえるだろう。
9月の米国対インターナショナルのチーム戦プレジデンツカップが開催されるが松山は押しも押される多国籍軍のエース。インターナショナルは丸山茂樹がすべてのマッチで勝利を挙げて米国を撃破した98年以来勝利がない(引き分けは1回)。
プレジデンツカップといえばBMW選手権初日に単独2位の好発進を切ったアダム・スコットにも言及しなければならないだろう。現在プレジデンツカップのポイントランクは8位。8位までが自動的にメンバー入りとなるため本人は「キャプテン推薦でなく自力で出たい」と意欲を燃やしている。
プレーオフシリーズがスタートする前はフェデックスポイントランク82位だったため上位70名しか出場できないBMW選手権進出が危ぶまれたが初戦で5位タイに入り目下45位。初日の結果を受けた予想順位は13位でツアー選手権進出の可能性が広がった。
「先週のプレーが自信になった。余計なことは考えず優勝することだけを考えてプレーしたことで流れを引き寄せられた気がする。今週も同じことをやるつもりだ」と吹っ切れた表情で語ったスコット。「プレーオフシリーズの魅力は圏外から一発逆転があること。この短期決戦でどこまで上がれるか楽しみだ」
今大会で結果を出せば自ずとプレジデンツカップの出場順位も上がる。インターナショナルチーム最多の9回出場を誇る彼にとってBMW選手権の結果は10回目出場に直結する。打倒米チームの悲願は松山とスコットの双肩にかかっている。
BMW選手権で注視すべきは間違いなくこの2人だ。