PGAツアーのプレーオフシリーズ第2戦BMW選手権は昨シーズンの年間王者パトリック・キャントレーが連覇を達成し幕を閉じた。そんななか最終日にビクター・ホブランが2番パー3でホール・イン・ワンをマーク。それでもリーダーボード急上昇とはならなかったが、じつはこのエースが別の意味で値千金だったのだ。

最終日64位タイと下位からスタートしたホブランは1番で幸先のいいチップインバーディを奪った。すると2番206ヤードのパー3でスーパーショットが飛び出す。6番アイアンで放った1打はピン方向にまっしぐら。グリーンをとらえるとスルスルと転がりカップに吸い込まれた。

ホール・イン・ワン! 

「6番アイアンの完璧なショットだった。それが入ったのだから間違いなく自分にとっていい日になった」とホブラン。しかもこのエース、学業優秀なのに経済的に恵まれずキャディをしている苦学生ひとりに4年間の学費と住宅奨励金を提供する奨学金プログラムに直結する1打だったのだ。

画像: 最終日、上位進出とはならなかったホブランだが、BMW選手権でのホール・イン・ワンは大きな意味をもっていた(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

最終日、上位進出とはならなかったホブランだが、BMW選手権でのホール・イン・ワンは大きな意味をもっていた(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

どういうことかというとBMW選手権はエバンス・スカラー財団への支援をおこなっており大会でホール・イン・ワンが出るたびに幸運なひとりの学生に4年間で12万5千ドル(約1600万円)の奨学金を提供するホール・イン・ワン・チャレンジを実施している。

これまでBMW選手権で達成されたホール・イン・ワンは6個。その都度大会はエバンス・スカラー財団に奨学金を贈っているほか07年以降累計4千万ドル(50億円以上)を寄付してきた。

「(ホール・イン・ワン・チャレンジは)本当に素晴らしい。自分の成績にはさほど影響はなかったけれど、あの1打に付加価値があったことはすごくクールだと思う。この試みが長く続くことを願っている」とホブラン。

精神面だけでなく経済的に誰かを応援できたことは本人に35位タイという成績以上の達成感をもたらした。そして観ていたこちらにとってもほっこりさせられるエピソードとなった。

いっぽう年間王者争いはBMW選手権にポイントランク1位で進出したウィル・ザラトリスが腰痛で途中棄権し3位に後退。史上初の2年連続年間王者を狙うキャントレーが前週の7位から2位に浮上。今大会3位タイのスコッティ・シェフラーが1位で最終戦を迎えることになる。

最終戦はポイントランク1位が10アンダー、2位が8アンダーとスタート時点でランクに応じたアドバンテージが付与される。世界ランク1位のシェフラーが強さを見せつけるか? それともキャントレーの2連続王者はあるのか? 最後の最後まで見逃せない展開となりそうだ。

ちなみに前回のコラムでBMW選手権注目の2人と書いた松山英樹とアダム・スコットはそれぞれ17位タイ、29位タイでツアー選手権出場を決めている。

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