世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが10アンダースタートのアドバンテージを守り切れずPGAツアーのシーズン最終戦ツアー選手権で惜敗を喫した。大逆転を演じた主役は過去年間王者に2回(16年&19年)輝いているローリー・マキロイ。最終日大会史上最多の6打差を引っくり返しタイガー・ウッズも成し得なかった3度目の戴冠を果たした。

「スコッティと一緒に回れて良かった」と勢いのある若手(26歳)を1打差で破り銀色のトロフィーを掲げたマキロイ。大会初日のスタート時点でマキロイはポイントランク7位だったため4アンダー、つまりシェフラーとは6打のビハインドを背負っていた。

しかも出だしの1番でOBを打ってトリプルボギーと最悪の滑り出し。2番でもボギーを叩きシェフラーの背中は遠ざかるばかり。しかし第3ラウンドに63をマークしリーダーボードを駆け上がると最終ラウンドはトップのシャフラーと6打差ながら最終組でプレーする権利をもぎ取った。

するとこの日は絶妙なタッチでチャンスにパットを沈め続け5番から3連続バーディでシェフラーにプレッシャーをかけ、勝負どころの15番パー3で10メートル近いパットをねじ込みバーディ。続く16番ではティショットをバンカーに入れセカンドショットもグリーン左の深いラフに打ち込む大ピンチ。しかし3打目をピンに当てて止めるこれ以上ないアプローチで2.5メートルに寄せスーパーパーセーブ。このホールでボギーを叩いたシェフラーを逆転しそのまま1打差で勝ち切った。

画像: 今季絶好調だったS・シェフラー(左)を最終日に逆転し、年間王者に輝いたR・マキロイ。お互いに検討を称え合う(写真は2022年ツアー選手権 撮影/Getty Images)

今季絶好調だったS・シェフラー(左)を最終日に逆転し、年間王者に輝いたR・マキロイ。お互いに検討を称え合う(写真は2022年ツアー選手権 撮影/Getty Images)

「木曜日(初日)のスタート時点で6打差。(初日の)3番のティーに上がったところで10打差つけられていた。そこからこうして逆転で優勝することができた。不可能なことなんてなにもない。それを証明することができた」と感無量のマキロイ。

プレーオフシリーズ初戦のフェデックスカップ・セントジュード選手権で予選落ちを喫したとき誰がマキロイの年間王者を予想しただろうか? どうせ勝つのはシェフラーでしょ、というムードを最後の18ホールで一変させ会場中を「ローリー、ローリー」の大歓声で包んだのだからさすがマキロイである。

今シーズンは2勝を挙げベスト10入りは10回。そして何よりメジャー4試合ですべてトップ10入りしたのはマキロイただひとりだった。奇しくも年間王者を争ったのはキャリアグランドスラムがかかったマスターズで優勝したシェフラー。最終日64という猛チャージで単独2位に入ったマキロイが倒せなかった相手に最高の舞台で借りを返した。

LIVゴルフの出現でゴルフ界が揺れた22年。そんななかでも一貫してツアーの威信と伝統を守ると公言してきたマキロイが改めて存在感を示したことの意味は大きい。

優勝賞金は1800万ドル、およそ24億円! 11位タイの松山英樹がこの試合で獲得したのは92万5千ドル(約1億2千万円)。最下位(30 位)のウィル・ザラトリスで50万ドル(約6700万円)。31位以下150位までの選手にも順位に応じたボーナスが支給される。

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