みんなが憧れる滑らかなスウィング。クエイルホロークラブでアメリカのライバルたちを打ち負かそうと目論む、インターナショナルチームの主軸、アダム・スコット。プレジデンツカップは、彼のキャリアを通じて大きな比重を占めてきた。しかも今回で10度目の参戦を果たそうとしている。
スコットは今年の初めにこう言った。
「トレバーのためにも、ぜひチームに加わりたい 」と長年の友人に言及した。「キャプテン指名を受けるのではなく、自力でメンバー入りを果たして、アメリカチームのホーム戦で彼らを打ち負かしたいのです」
過去に9回プレジデンツカップに参戦してきたスコットの戦績はというと、合計44マッチを戦い、インターナショナルチームに19ポイント(歴代トップのアーニー・エルスとは2ポイント差)をもたらすことに貢献している。
現在、チームにとってそれほど重要な存在なのに、スコットが2009年大会のメンバーに指名されたときは、驚きを隠せない人もいた。
というのも、レギュラーシーズン最終戦のウィンダムチャンピオンシップを控えて世界ランキング53位につけていたスコットは、それ以前に出場した10試合のうち7試合を予選で敗退、「フェデックスランキング」116位で辛うじてプレーオフ進出を果たしたからだ。
初戦のザ・バークレイズで予選を突破した後、プレーオフ2戦目に進めなかったにもかかわらずキャプテン指名を受けたことが、後々スコットが自信を取り戻すきっかけになったという。
「プレジデンツカップの舞台では逃げ隠れできません。世界のトッププレーヤーたちと真っ向勝負を挑むことになります。私はそれをモチベーションに変えて、自分も一流のゴルファーであるという自信を取り戻すチャンスと捉えました。そういう機会がないと、スランプから脱却してトーナメントで首位に立つことは難しくなります。プレジデンツカップで再び重圧と向き合うことになったものの、望むところでした。あの大会が大きな後押しとなり、すぐに調子を取り戻しました」
彼は実際に復調を遂げた。2010年5月、キャリア7つ目のPGAツアータイトルを獲得したスコットは、続く7シーズンのうち6回ツアーチャンピオンシップ進出を果たし、栄えある「フェデックスカップ」のタイトルを巡ってしのぎを削った。さらに2014年、彼は11週間にわたって世界ナンバーワンの座に君臨した。
スコットの完全復活を決定づけたのが、2013年のマスターズ制覇だ。
「あのときが正念場だったのです。自分のプレーが少し単調になり、あまり楽しめていませんでした。しかし思い返せば、あの優勝のおかげで私は自動的に世界のトッププレーヤーたちの仲間入りを果たせたのです」
彼が18番ホールでバーディーパットを沈めたときに「カモン、オージー!」と叫んだ場面は記憶に新しい。その後プレーオフに進んだスコットは、プレジデンツカップのチームメイトでアルゼンチン出身のアンヘル・カブレラを打ち負かして優勝した。オーガスタナショナルで最終ラウンドを終えたとき、スコットは2009年のマッチでカブレラに言われたことを思い出したという。
「その年のプレジデンツカップでは残念ながら負けてしまったものの、アンヘルは帰る前に心に残る言葉をかけてくれました」とスコットは振り返る。「私はキャプテン指名でチームに入れてもらったのに、足を引っ張ってしまいました。なのに、アンヘルは私を引き止めて『君は本当に素晴らしい選手だ』と言ってくれました。そのことは今も覚えていて、彼にはとても感謝しています。私たちは強い仲間意識で結ばれているのです」
そして、彼はプレジデンツカップで9連敗を食い止めるために、9月にクエイルホローでインターナショナルチームの一員としてアメリカチームに一矢を報いることを何よりも望んでいる。