22日からアメリカのノースカロライナ州クエイルホロークラブで開催されるアメリカ選抜対世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」。その主力メンバーをリレー方式で紹介、2回目はキャプテン推薦で選ばれ、アメリカチームの中心選手となりそうなコリン・モリカワ!

コリン・モリカワが『シリアルを食べるときは牛乳を器に注いでから「シナモントーストクランチ」を入れる』、とツイートしたことを受けて、全米中でちょっとした論争が巻き起こったのをご存じだろうか?

そのツイートを機に、アメリカの人気スポーツトーク番組『ダン・パトリックショー』は7分14秒にわたる動画を配信。意固地になったモリカワが、牛乳を先に入れてはいけない根拠を示してほしいと冗談交じりに投稿したところ、モリカワの出身校でもあるカリフォルニア大学バークレー校の「アスレチックス・コンプライアンス」オフィスは、NCAAマニュアルの240ページに偽の情報を記載してモリカワの問いかけに応じた。

「コリン、シリアルから先に入れるように」

このSNS上の応酬は、モリカワと用具使用契約を結ぶテーラーメイドがシリアルメーカーと組んで「シナモントーストクランチ」のゴルフアクセサリーを開発して、販売するというアメリカらしいエピソードも生み出した。

これはモリカワのお茶目な一面、なにしろ彼はまだ25歳なのだから。しかし、ひとたびゴルフコースに出ると、モリカワは年齢からは想像できないほどの集中力と意志の強さを発揮する。

画像: キャプテン推薦でプレジデンツカップのメンバー入りを果たしたC・モリカワ。彼にとってもプレジデンツカップ出場は大きな意味をもっているという(写真/Getty Images)

キャプテン推薦でプレジデンツカップのメンバー入りを果たしたC・モリカワ。彼にとってもプレジデンツカップ出場は大きな意味をもっているという(写真/Getty Images)

今回のプレジデンツカップでアメリカチームのキャプテンを務めるデービス・ラブⅢ世は、モリカワの才能だけでなく、彼の成熟度にも注目しており、モリカワのことを「とても寡黙で、まるで50歳のベテラン選手」と評した。彼のゴルフは「安定感抜群で、並外れている」という——

モリカワはカリフォルニア州のラ・カナダで育った。父親のブレインはハワイ出身の日系アメリカ人で、母親のデビーはカリフォルニア出身の中国系アメリカ人。両親はロサンゼルスでクリーニング業を営んでおり、彼らはカリフォルニア州グレンデールにある9ホールのコース、チェビーチェイスカントリークラブのメンバー、モリカワはそこでゴルフを始めた。

そして8歳のときには、近くにあったショールキャニオンゴルフコースのインストラクター、リック・セシングハウスにゴルフを教わり始めた。ブレインがセシングハウスに息子のコーチを依頼したところ、スウィングを2回見せただけで「もちろん教えますよ」とセシングハウスは即答したのだという。

応用スポーツ心理学の修士号と博士号を持つセシングハウスは、スウィングインストラクターとパフォーマンスコーチを兼任している。彼がモリカワに教えたのは、練習場でボールを打ってスウィングを極めることではなく、ラウンド中の心構えやゲームプランに徹することの重要性だ。2人の師弟関係は17年経った今も続いている。

大学1年生の夏に出場したコーンフェリー・ツアーでは、かろうじて予選を突破したものの、週末に2日続けて「63」をマークするとトップに浮上、しかしJ.J.スポーンとオリー・シュナイダージャンズとの3人のプレーオフで惜しくも敗れた。

また、23歳のときには全米プロ選手権を初出場で制覇。その翌年、彼はロイヤルセントジョージズが舞台の全英オープンでも同じことをやってのけた。タイガー・ウッズやジャック・ニクラスも含め、大会初出場でメジャー2勝を果たした選手はほかにいない。

モリカワはツアー6戦目のバラクーダチャンピオンシップで初優勝を果たし、2021年の夏にツアー49戦目となった全英オープンで5勝を達成した。続く2022年シーズンも開幕早々、8試合で6回トップ10入りを果たして絶好のスタートを切ったものの、マスターズの後は多少失速した。

しかし、後に全米オープンで5位タイにつけたモリカワは、今後に向けて意欲を燃やしている。持ち球のフェードを取り戻せたかどうかはさておき、彼はもっと大切な教訓を得た。

「完璧を求めないことを学んだような気がします。困難な状況を迎えることもあり、いつも狙い通りのショットが打てるわけではありません。大事なのは細かい点に固執しすぎないことです」とモリカワ。

これに関しては、コーチのセシングハウスも同意していることだろう。

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