9月22日に開幕するアメリカ選抜対世界選抜の対抗戦・プレジデンツカップ。その出場選手を紹介するこのコーナー。今回はアメリカ代表・キャプテン、デービス・ラブⅢの主将推薦により初出場が確定したマックス・ホーマ。日本では馴染みが薄いかもしてないが、彼はSNS上で多くのフォロワーをもつ人気選手なのだ。

最近のアスリートにとってソーシャルメディアの活用は、ほぼ”マスト”だが、マックス・ホーマはPGAツアー選手の中でもとくに熱心で、44万人近いフォロワーを抱えている。

前回お話したコリン・モリカワの、ミルクとシリアル、どちらを先にボウルに入れるべきかといったTwitter上の白熱した「論争」にすぐ反応したり、コリン・モリカワの話を聞いているか? とツイートしたりしていた。

画像: シーズン最終戦のツアー選手権で5位タイに入り、好調なM・ホーマの参戦はアメリカチームにとっても頼もしいかぎりだ(写真/Getty Images)

シーズン最終戦のツアー選手権で5位タイに入り、好調なM・ホーマの参戦はアメリカチームにとっても頼もしいかぎりだ(写真/Getty Images)

2019年のメジャーリーグ、ナショナルリーグ のチャンピオンシップシリーズで、ロサンゼルス・ドジャースがアトランタ・ブレーブスを倒した時には、ブレーブスファンのJ・T・ポストンをやり込めるが、1年後、結果が逆転した時、ホーマはTPCスコッツデールの16番ホールでブレ―ブスのジャージを着てプレーしたり、非常にユーモアにあふれている。ファンが送ってくるスウィング動画に対するユーモアたっぷりの酷評もアメリカでは有名だ。

しかし、ファンにとってもっとも魅力的なのは、投稿からうかがえるホーマのひねりの効いたセンスだ。「今夜のディナーで @JustinThomas34の両親と、もうすぐ生まれる僕たちの子供のことを話しながらメニューを見ていたんだ。JTのお父さんが何がいいかなって聞いてきた時、僕は男の子と答えたけど、妻はパスタと答えた。彼女は最高のママになるよ」

とアメリカンジョークをツイート。日本ではなじみが薄いがとても親近感を覚える選手であることがわかるだろう。

ほかの若手のプロと同じように、子供の頃はタイガー・ウッズに憧れていたというホーマ。カリフォルニア大学バークレイ校を卒業し、2013年全米オープンの出場権を得た直後、大胆にもタイガーに練習ラウンドで一緒に周れるかとTwitterで尋ねた。その時はうまくいかなかったが、9年後、第150回全英オープンゴルフ選手権の予選で、タイガーとのラウンドが実現したのだ。

組み合わせが発表された時のホーマのツイートを抜粋して紹介しよう。

「ゴルフの神様、僕たちは対等な立場になったよ。これが現実だなんて信じられない。陳腐な言い方だけどそんなことはどうでもいい。僕はあの最高にイケてる【ヤギの絵文字】(=ヤギは英語でGOATであることから転じてG.O.A.T. /the Greatest Of All Time、史上最強を表す。アメリカではタイガー・ウッズやマイケル・ジョーダンを表すときに用いることが多い)と一緒に周るんだ」

2人揃って予選落ちを喫した後、ホーマは「忘れられない出来事だ。週末プレーできないのは本当に残念だけど、セントアンドリュースでタイガーと2日間一緒にプレーできたなんて感謝してもしきれないよ。18番ホールのグリーンへ向かう時は、映画のようだった」とつぶやいた。

プロとしての最初の4シーズンは、PGAとツアーとコーンフェリーツアーを行ったり来たり。2017年はPGAツアーで17試合に出場し、予選突破がわずか2試合で1万8008ドル(250万円弱)しか稼げなかった。

彼のスウィングコーチ、レス・ジョンソンは言う「ホーマは考えすぎてしまったんだ。頭脳明晰なあまり、考え込むとあらゆる手段が浮かんでしまうんだ」

2018年、コーンフェリーツアーに戻ったホーマは、レギュラーシーズンの最終戦でカットラインぎりぎりで予選を通過し、コーンフェリーツアーファイナルズに滑り込み出場を果たした。4試合からなるファイナルズで2度トップ10に入ったホーマは翌シーズンPGAツアーに戻り、9か月後に初優勝を味わった。 

「僕はつねに自信を持つということがいま一つできず、堂々としていられなかったと思う」とホーマは言う。

「ジョン・ラームやフィル・ミケルソン、ダスティン・ジョンソン、ローリー・マキロイやジャスティン・トーマス、ダニエル・バーガーを始めとする選手とプレーしていると、確かに信じがたいレベルのゴルフに気づくことがある。でも僕にとって何より大事なのは考えすぎないこと、そして自分を信じること。この1年、ここ半年くらいはそれが上手くできていたと思う。でももう少し胸を張って歩き、自分も彼らのようになれると思えるようにならないといけない。それが僕がもっとも努力すべきこと」と続けた。

プレジデンツカップでは、さらに進化したホーマが見られることだろう。

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