(質問)
上級者向けのアイアンは、軟鉄鍛造製と相場が決まっているように感じます。軟鉄鍛造が選ばれる理由は何でしょうか?(大阪府 22歳 平均スコア95)
担当記者(※以下GD):軟鉄鍛造アイアンに特別な思い入れのあるゴルファーも多いですが、最近は複合素材のアイアンも多くなりました。
増田:軟鉄鍛造がいいか?と聞かれたら、それはもういいに決まっています。軟鉄鍛造が一番なら、複合素材を採用したモデルは二番目、三番目になりますね。
ゴルフは技量はもちろんですが、体力も年齢も実に幅広い人がプレーしています。その中で一番上手い人は何を使っているか、例えばPGAツアーのトップ選手たちは何を使っているか、それは軟鉄鍛造のマッスルバックアイアンです。
野球に例えると、守備が一番うまい選手はショートを守るものでしょう? 捕球も上手いし足も速い。そんな選手が使うグローブはほかのポジションと比べても小さいものです。手で取るような感覚になるほど、小さいグローブを使う選手も多いです。
大きなグローブのほうが取る範囲が広く、よさそうに見えるけどそういうものではないんです。上手い人は一見難しく見える小さなグローブを愛用している。
GD:ゴルフも上手い人は小さいヘッドを使いますね。
増田:ゴルフの世界で一番上手い選手たちは何をしているか? 最高峰の選手たちはゴルフという競技で何をしているか。それは、ボールを操っているんです。
時には風に乗せたり、逆に逆らったり。つねにボールを操っている。そして操りやすいのが軟鉄鍛造のマッスルバックなんです。単一素材でヘッドが小さく、コントロールがしやすい。ボールがフェースに乗る感覚があり、感触からもコントロールしやすくなります。
GD:そうなると、ボールを操らないアマチュアゴルファーは、そこまでの操作性は必要ないということになりませんか。
増田:そこは正解のないことだし、今の自分の技量に応じて選ぶのが良いと思いますよ。スイートエリアが広くて、お助け要素の強いクラブのほうが、スコアという点では結果は出やすいでしょう。ちょっと芯を外してもグリーンに残ってくれれば、それがありがたい人は多いでしょうから。
GD:ステンレスなどとは違う軟鉄のよさはありますか?
増田:打感の違いは少しありますが、単一素材で塊なのでスイートスポットも似たようなところに出来ます。その意味では大きく操作性が変わるみたいなことはないでしょう。
鍛造製法は熱して叩いてカタチを作ります。赤くなるまで熱して、それから冷却する、つまり焼きが入るわけです。そうなると特性が元の金属から変わってしまいます。軟鉄の場合は、鍛造を繰り返してもそんなに性質が変わりません。焼きが入っても軟らかいままで成型出来る。そこは利点でしょうね。