結果的には初日の「60」で勝負あったともいえる圧勝劇。すでにメルセデスランキング、賞金ランキングともにトップを快走しており、盤石の首位固めとなった。さらに山下は今季2勝目を挙げた6月の「宮里藍サントリーレディス」から12試合連続でトップ10入り。ツアー歴代3位となる2007年の上田桃子の記録に並んだ。
最後まで何が起こるか分からない。頭の中でそんな言葉をいくら巡らせてみても、最終日のスタートを前に優勝予想には一人の名前しか浮かんでこない。それほど、山下が強過ぎる3日間だった。最終日の12番では3パットで今大会初のボギーを叩いたが、これで崩れる様子はなし。同じ最終組で回った竹田麗央、三ヶ島かなに差は詰められたものの、終始セーフティーリードを保ち続けた。直近の数試合は優勝争いをしながら勝てない試合が続いており「(最終日になると)悩み過ぎてプレーが遅くなってるなと。淡々と自分らしいプレーでやっていこうと思いました」。油断もなければ、焦りもない。今、ツアーで一番強い選手が8打リードの最終日に落ち着いてプレーすれば、ドラマはそうそう起こるものではない。
山下はこれで12試合連続トップ10入りの勢いのまま、国内メジャー「日本女子オープン」を迎えることになったが、ちょっと気になるジンクスもある。連続トップ10入りの上位の記録、不動裕理の16試合(2000~01年)、イ・ボミの15試合(2015~16年)、上田の12試合はいずれも優勝した直後の試合でストップしているのだ。不動は11試合目で優勝した後に、さらに記録を伸ばしており、勝つと必ず止まるわけではないが、優勝争いの疲れ、勝ったことでの安心感など、原因らしきものはいくつか考えられる。山下も3か月半に渡って、国内ではつねに上位争いを続け、その間に海外メジャー「AIG全英女子オープン」でも好成績(13位)を残してきただけに目に見えない疲れは確実にあるはず。今週はジンクスを跳ね返す力が残っているのかに注目したい。
また、今大会はシーズン終盤の出場権をかけたリランキング争いもし烈だった。2位タイの竹田、4位タイの上野菜々子はボーダーライン、あるいはそれ以下で今大会を迎えたが、これで残り試合のほとんどに出場できる見込み。飛ばし屋の竹田、フェアウエーキープ率が高い上野とタイプは異なるが、それぞれ最後の最後でチャンスを生かしただけに、これをシード権獲得という結果につなげたいところだ。