早速、クラブとヘッドを計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.0度、シャフトはメーカー純正の『TSP310 60 (フレックスS)』。いつもどおり数値はすべて実測値を表記している。クラブの長さは45.25 インチとやや長く、クラブ重量は310.4gとやや重く、そしてスウィングウェイトもD3.4と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが294万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが47m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。
ヘッドは横幅が広い丸型形状だが、前モデル『TSi2』よりも横幅が狭くなり、素直に構えやすくなったイメージがある。アドレスでの強めのオープンフェース(1.5度オープン)は継続で、かつフェースのトウ側に逃げ感も出ている。ヘッドの後方が低いシャローバック形状なので、インパクトをアッパーに振るイメージが出ている。
実際に試打したところ、アドレスでは前モデルよりもヘッドの横幅が狭くなった分、構えやすくなった感じがする。シャフトは前モデルよりはしっかり感があるが、まだややヘッドのパフォーマンスに負けていると言わざるを得ない。タイトリストはプレミアムシャフトとして、『ツアーAD DI』と『ツアーAD IZ』を用意しているので、そちらのシャフトも試打するのがいいだろう。
ヘッド重量は202.6gと重く、リアルロフトは表示ロフトよりも小さく厳しい設計(9.7度)なので、うまくミートすればインパクトでボール初速を上げやすくなっている。重心深度は42.5ミリと最近の標準的なドライバーヘッドと比較すると非常に深いが、前モデルよりも浅いので、『TSR2』は大きなヘッド慣性モーメントを狙っていないことがわかる。一方、重心距離は41.7ミリと前モデルよりも長く、かつフェースの中央よりもトウ寄りにスイートスポットが位置していることが特徴で、フェースの中央で球をヒットしてもスライス系スピンが入りやすくなる。また、同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも8266g・㎠と非常に大きいので、基本ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで、全般に球をつかまえ過ぎない設計といえる。フェースの反発自体は標準的な感じだが、ロフト角9.0度のモデルと比較すると、10.0度はインパクトロフトが増えるのでバックスピンが多くなり、安定したストレート~フェード系弾道が打ちやすい。個人的には、前モデルよりも構えやすくなったことからツアープロの使用率がどれほど上がるかが興味深い。
これがTSR2の計測データだ!
※週刊GD22年11月1号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より