早いもので2022年のJLPGAツアーを締めくくる最終戦の時期になりました。年間を通して活躍した上位40名の選手しか出場できない今大会を目指してきた選手たちの戦いを現地からお届けします。
会場となる宮崎CCは空港から車で10分、市内中心部からも20分程度のロケーションでアクセス抜群です。地鶏や宮崎牛などの食事を楽しみにしている選手も多く、夕飯の〆にうどんを食べてしまい、来たときよりも太って帰るというのも恒例になっています。
初日を終えて6アンダーで山下美夢有、5アンダーに菊地絵理香、藤田さいき、渡邉彩香、セキ・ユウティンらが並び2打差の7位タイに三ヶ島かな、シン・ジエ、稲見萌寧、3打差の10位タイに上田桃子、渋野日向子、鈴木愛らが続いています。
米女子ツアーの最終戦から帰国したばかりの古江彩佳、笹生優花選手はトップスタート。相変わらずの飛距離を武器にプレーする笹生選手は古江選手の30ヤード先まで飛ばしています。多少ラフに入っても短いクラブで上から落として止める”剛”のスタイルの笹生選手に対して、古江選手は距離を残してもフェアウェイからスピンの効いたボールでピンを攻める”柔”のスタイル。そのプレースタイルは対象的です。しかし、1年間大きな移動を繰り返して戦ってきた疲れと時差ボケもあるのでしょう。古江選手はドライバーをフェアウェイに置けずにバーディが遠い前半です。
ラフからのショットはフェースとボールの間に、芝が噛むことでスピン量が安定せず距離感を合わせることが難しくなりますが、ラフに浮いていたり沈んでいたりとライの状態によって上から入れるのか、浅く振りぬくのかといった入射角をコントロールする難しさもあります。特に早いスタートでは朝露で濡れた重さのあるラフから乾いていくコンディションに対応することも必要になります。
そういった状況を1年間各地で経験してきた、古江選手は1アンダー、笹生選手選手は1オーバーで終え、芝や体のコンディションも含めた対応力が上がり成長した姿を見せてくれています。
もう一人の帰国組である渋野日向子選手は、前半はピリッとしないゴルフで1オーバーでターンしますが、出だしの10番でバーディを奪うと11番、13番と2つのバーディ、最終18番ホールでも4メートルを読み切りバーディフィニッシュと3アンダーでホールアウトします。1番や10番の出だしのホールをバーディとすると好スコアを出すことが多い渋野選手ですが、ラウンド後の会見でそのことを聞くと「そうですね。ようわからん」といつもの笑顔で答え記者たちも思わず笑顔になりました。
高麗芝のパッティングやバンカーショットの上手さを見ると、芝の違いや、気候、体調を含めたコンディションに対する対応力は間違いなく向上していると感じます。残り3日も詰めかけた宮崎のゴルフファンを沸かせてくれることでしょう。
メルセデスポイント年間女王を先週に決めた山下美夢有選手は、好調を維持し6バーディノーボギーと女王らしいプレーを見せてくれました。トータル12アンダーまで伸ばすと、年間の平均ストロークが69台になるという史上二人目、日本人としては史上初の記録に挑んでいます。
ダンロップのツアー担当の鎌田将太さんによると「トラックマンで計測するとミート率(ヘッドスピードに対する初速の割合)が高くスピン量も安定している」といいます。それは安定した入射角と芯で当てられる確率が非常に高いことを意味しています。プレッシャーのかかる試合中でも優勝争いの中でもその精度を保ちプレーできるところが山下選手の強さなんだと思います。
首位から3打差以内に14名がひしめく初日でしたが明日以降、混戦の中から抜け出すのはどの選手になるでしょうか。現地からレポートを続けます。