
PTSDであることを明かしたゲーリー・ウッドランド(写真/Getty Images)
頭蓋骨に野球ボール大の穴を開ける大手術を受け、脳の腫瘍を取り除いたウッドランド。周囲が思っている以上に早かったナイスガイのツアー復帰を皆が手放しで歓迎した。
「ツアーではたくさんのサポートに恵まれています。皆さん本当に素晴らしい。毎週トーナメントに出場するたび私の復帰を喜んで興奮してくれる大勢の人がいる。その愛とサポートには心から感謝しています」
「でも心の中では死にそうな気がするし、嘘の人生を生きているような気がするのです」
手術の後遺症で発症したPTSDにより脳の一部が彼に死への根拠のない恐怖を与えているのだ。
昨年、副キャプテンを務めたライダーカップの米チームのほとんどが出場した9月(フォールシリーズ初戦)のプロコア選手権で起きたある出来事を語り始めたウッドランド。
チームのメンバーとプレーしていたときスコアラーが背後から近づいてきた。ごく普通のことだが、突然接近してきた人影に恐怖を感じ視界がぼやけた。そしてラウンドを続けられるかわからなくなった。
「自分の番だったのに打てなかったのです。(キャディの)ブッチに『(クラブハウスに)戻りましょう』と言われましたが私は『いや、みんなのためにここにいるんだ。この状況を乗り越えたいんだ』と答えました」
フェアウェイでは溢れる涙をサングラスで隠し、トイレに何度も駆け込み嗚咽を漏らした。スコアリングテントのなかで泣き、それを隠すために駐車場に停めてある自分の車に駆け込んだ。それはすべてPTSDを周囲に悟られたくなかったから。
「でももうあんな風に生きたくない」
彼は決意した。自分の苦しみを告白することで同じようにPTSDに苦しんでいる人々に寄り添いたい。
以前退役軍人と話したとき「どんなに自分が強いと思っていてもひとりでは乗り越えられない」という言葉を何度も耳にした。「自分は闘争心旺盛だし、この病気に負けるつもりはありません。でも本当に辛いのです」。
19年の全米オープンチャンピオンは「ここで自分の夢を叶えて成功したい。同時に人を助けたいとも思っています。それにはまず自分自身を助けることが始めたい。PTSDを告白したのはその第一歩です」。
会えば人懐っこい笑顔でこちらまで優しい気持ちにさせてくれるウッドランド。1日も早く苦しみから解放されて欲しいと願うばかりだ。
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