早速、クラブとヘッドを計測していこう。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角9.0度、シャフトはメーカー純正の『TSP311 65 (フレックスS)』。いつもどおり数値はすべて実測した値になる。クラブ重量は314.6g とやや重いが、クラブの長さが44・88 インチとやや短く、スウィングウェイトもD1.7と標準的なので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが290万g・㎠ に抑えられていて、同時に発売されている『TSR2』や『TSR3』よりも小さくなっているのは面白い。この数値だとドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計と言えるだろう。
アドレスすると小ぶりに見えるヘッドだが、『TSR2』や『TSR3』に比べて最もオーソドックスな形状なので、素直に構えやすい。そして、アドレスでの強めのオープンフェース(フェースアングルが1.5度オープン)は継続され、かつフェースのトウ側に逃げ感も出ている。ヘッド後方が低いシャローバック形状で、インパクトをアッパーに振るイメージが出ている。
実際に試打したところ、つかまえ過ぎないイメージがあるが、ヘッドだけを見た印象どおりに3モデルの中では最もオーソドックスな形状でアドレスしやすい。『TSP311』は他の2モデルの純正シャフトにラインナップされる『TSP310』よりもしっかり感があってインパクトの再現性もいい。そして、ヘッド重量は202.8gと重く、リアルロフトは8.4 度と表示ロフトよりも小さく厳しい設計なので、うまくミートすればインパクトでボール初速を上げやすくなっている。
3モデルで最もヘッドが小さいこともあるが、低めのスイートスポットを得るために重心深度が36.6 ミリと浅く、実際に3モデル試打したが、最も低スピン弾道を打ちやすいモデルだった。そして、『TSR2』や『TSR3』と比較するとヘッドの慣性モーメントは4386g・㎠と小さめで寛容性が高くないためやさしいクラブとは言えないが、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントは他の2モデルに比べて7050g・㎠と小さいので、ダウンスウィングでヘッドが返りやすく、球をつかまえやすくなっている。
そして、フェースの反発自体は標準的な感じだが、低スピンで強い中弾道を打ちやすい。ランを含めての飛距離であれば、3モデルの中ではこの『TSR4』が最も飛ぶだろう。個人的に「ツアーでこのクラブの使用率がどれほどになるか?」に興味がある。
これがTSR4の計測データだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2022年11月8日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より