タイガーはここ20年、よりソフトでスピン量の多いボールを使用してきた。ゴルフを科学するブライソン・デシャンボーのススメでブリヂストンと契約してからも一貫してスピンにこだわった。しかも「ツアーB XS」はタイガー自ら設計を携わったボール。
しかし大怪我のあとのブランクを経て「少なくとも今後いくつかのイベントに関して『ツアーB X』を使用することになります。グリーンサイドのスピンは必要ですが、今タイガーは飛距離にフォーカスしているようです」とブリヂストンのゴルフボールマーケティングマネージャーのエリオット・メロー氏は言う。
ボールチェンジに向けた取り組みは水面下で進行していた。まずは「ツアーB XS」と「ツアーB X」両方のボールをシュミレーターで比較。コースに出てグリーン周りのアプローチを比較しスピン量の変化をチェック。「X」でもある程度スピンがかかることを確認した上でヒーロー・ワールド・チャレンジの練習ラウンドで「X」を使い風の中でどんな球が出るのかなどを入念にチェックした。
あいにく大会直前に足底筋膜炎と診断され試合には出場しなかったが、「ツアーB X」の飛距離に関してはかなり満足度が高かったようで前出のメロー氏によると「本人は2打目を1番手小さいクラブで打てるくらいティーショットが飛んだ、といっています」。
「『X』の方がコントロール性は落ちるかもしれませんが、その分短いクラブでグリーンを狙える。グリーン周りのスピン性能を多少犠牲にしても『X』に魅力があると感じているようです」(メロー氏)
『ザ・マッチ』のあとは息子チャーリー君と組んで親子大会(PNCチャンピオンシップ)に参戦するタイガー。そこまではイベント的な色合いが強いためXでプレーするようだ。
しかし来年のマスターズでも『X』を使い続けるかはわからない。「『X』の使用が恒久的なものだとは思えません」とメロー氏。「ゴルフボールの操作性をより必要とするオーガスタのようなコースではおそらく『X S』に戻るのではないでしょうか」
年末に47歳になるタイガーにとって、かつてツアーの誰より飛んでいただけに飛距離の魅力は捨てがたい。何よりも飛距離を優先したいという思いは我々アマチュアとも共通する。タイガーも同じ!?