11月にプロ転向した蟬川泰果は、現在、東北福祉大学に通う4年生。実は中学1年から蟬川の指導に当たっていたのが、渋野日向子をメジャーチャンプにしたことで有名な青木翔コーチ。そこで、前編は、青木コーチに蟬川のスウィングや飛ぶフェードのを手に入れるための練習法について聞いた。
画像: 今年の日本オープン。第1回大会に赤星六郎が優勝して以来、約1世紀ぶりのアマチュア覇者となった弱冠21歳の蟬川泰果

今年の日本オープン。第1回大会に赤星六郎が優勝して以来、約1世紀ぶりのアマチュア覇者となった弱冠21歳の蟬川泰果

「昔からドローもフェードも打てる選手でしたが、中学時代はドローで今はフェードを持ち球にしています。ですから、細部を見れば体の使い方に違いはありますが、スウィングの本質は実は昔も今も変わっていません」

では、いったい何が変わったのだろうか?

ドローから安定して飛ばせるフェードにチェンジ!

画像: 「筋力がない中学時代(写真右は高校)は上体が起き上がるのでクラブがインサイドから下りてきていましたが、今は上体を押さえ付けられる筋力があるので、ほぼストレートにクラブを振り下ろすことができる」と青木コーチ

「筋力がない中学時代(写真右は高校)は上体が起き上がるのでクラブがインサイドから下りてきていましたが、今は上体を押さえ付けられる筋力があるので、ほぼストレートにクラブを振り下ろすことができる」と青木コーチ

「筋力がついたことが影響しています。それがわかりやすいのが、ダウンスウィングからインパクトの形です。筋力がない中学時代は上体が起き上がるのでクラブがインサイドから下りてきていましたが、今は上体を押さえ付けられる筋力があるので、ほぼストレートに振り下ろしてボールを押し込んでフェードを打っているのです」

筋力アップによって、ドローから安定して飛ばせるフェードに変わったという青木コーチ。しかし、本当にそれだけなのだろうか。さらに突っ込んで聞いてみると、いままで取り組んだ練習法などを教えてくれた。

「泰果だけじゃないですが、僕が指導する選手全員に言うことは"とにかく思い切り振り切れ"です。泰果もインパクトで"ウンッ!"って声が出るくらいいつも思い切り振り切っていましたが、中学時代は、まだ筋力がなくいわゆる体幹が弱かったので、上体が起き上がり軸が右へ傾き振り遅れることがありました。大人になるにつれ肉体も変わってくるので極端な矯正はしませんでしたが、振り遅れを防ぐ意識付けをするため左足外側に衝立を置いて足が当たらないように振らせていました。実際は当たりませんけど衝立を意識するだけ、軸ブレなく体を回転できるようになるので、いまの飛距離と常に振り切れるスウィングの基礎になっていると思います

思い切り振り切るための「左サイドの衝立練習法」

画像: 左足の横にカゴや衝立を置く練習法。ものすごくスウェイしない限り、そうそう左足は当たらないという青木コーチ。「左足の横にモノを置いておくだけで、脳が強く意識するので体が反応して軸ブレなく振り切ることができるようになります」

左足の横にカゴや衝立を置く練習法。ものすごくスウェイしない限り、そうそう左足は当たらないという青木コーチ。「左足の横にモノを置いておくだけで、脳が強く意識するので体が反応して軸ブレなく振り切ることができるようになります」

常に最後まで思い切り振り切る蝉川。そのスウィングをよく見てみると、フォローで体の内側、ターゲットに対して左側へ振り切っているのが特徴のひとつだ。これについて青木コーチに聞いたところ、これこそ今までやってきたスウィングと筋力がマッチした証拠だという。

「フォローでヘッドが体の内側へ振り切れているというのは、体の回転とクラブが同調して動いていることと、あおり打ちにならず左へ引っかけが出ない証拠です。これは理想ですが、体ができていない小中高校生がこの形だけ真似をすると、体を痛めます。筋力があってはじめてできる振り方です。なぜなら、体の正面にクラブをキープしたまま振り切れる筋力があるからです」

蝉川は筋力アップと練習法で、300Y超の強いフェードボールが打てるスウィングを手に入れた。(後編に続く)

※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月13日号「蝉川泰果くんの300Y超フェードいただきます!」より一部抜粋

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