蝉川の300Yを超える飛距離の秘密について、前編では青木翔コーチが中学時代から現在の技術をとことん掘り下げてくれた。後編は、飛ぶフェードを生み出すドライバー(ギア)について、蝉川を高校時代から支えるフィッターが解説。そして、「これだけは言わせて」と前のめりな青木コーチが、飛距離につながるという蝉川のパターについても解説する。。
フェードを武器にする蟬川がドライバーに求めるのは「どんなに振っても左に行かないこと」。
フィッターとして高校から彼を支えるピンの塩谷竜太さんに聞いた。「左に引っかからず、"振り感"が良い。この2つの条件は、ジュニアから変わっていません。現在使用するヘッドはG430 LSTというハードヒッター向けのもの。それをネック調整でライ角を3度フラット、ウェイトポジションもフェードに設定し、つかまりを抑えています」
シャフトも同じくつかまりにくい特性のテンセイ1Kオレンジを挿す。
「スペックは60グラム台のフレックスTX。70グラム台でも十分振れていたのですが、本人いわく『しんどい』と(笑)。スピード感を重視しているので軽めのものを採用しています」
常に振り切れる思い切りの良さは、左へのリスクを徹底的に消すクラブによって支えられているのだ。
青木コーチがこれだけは伝えたいというのが、実は蟬川のパターだという。
「泰果はパットに絶対的な自信があるからドライバーを振り切れるともいえます。元々パターが好きで、小学校のときから毎日パターマットで100球連続で入れる練習をしていました。そのためか、真っすぐ転がすためにヘッドを真っすぐ動かそうとしていたので、『パターもショット同様ヘッド軌道は円運動なんだよ』と伝えたところ、さらに上手くなって(笑)。素直で貪欲なところが偉業を達成した原動力かもしれません」
『ピン PLD CUSTOM アンサー』を使用する蟬川。「ピンタイプが好みで、以前は市販のアンサー2を使っていましたが、打感が少しだけ硬いと感じたので、フェース面の溝をいじってもらいカスタマイズしたものを使っています 。
蝉川の技術とギアへのこだわりが、300Yを超える飛距離の原動力になっていた。
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月13日号「蝉川泰果くんの300Y超フェードいただきます!」より一部抜粋