12月10日に「『ゴルフって楽しいんだ』という気持ちを忘れずにプレーしてほしい」とジュニアゴルファーを集めたイベントを開催した笹生優花。著名人とファンが直に交流できる特別なイベントとしてアメリカでは数多く開催されている「MEET&GREET」。笹生の「YUKA MEET&GREET」では、18ホールのストロークプレーの合間に笹生優花が各組を回って一緒にプレーする場面もあり、ジュニアゴルファーのホールアウトした際のキラッキラした笑顔を見ると、とても濃密で楽しい思い出に残る1ページになったことは間違いないだろう。
8時の開会式で始まるとスタート順に練習場に移動し、笹生優花の打球練習を見学。「何番打って欲しい?、好きなクラブは?」とジュニアゴルファーに話しかけながらデモンストレーション。それが終わると、今度はジュニアの練習をプロがチェック。一人一人のスウィングを見て会話を交わし、質問を受けたりワンポイントレッスンをしたりと、少しずつジュニアたちと距離を縮めていく。
「本当はドローを打ちたいんだけど、最近はフェードになってる」といいいながらドライバーを打つジュニアには、左手のグリップの握る強さを少しゆるめるようにアドバイス。そのアドバイスのおかげか75ストロークで中学生男子の部で優勝したのは渡邉日向君。優勝インタビューでは「朝のアドバイスのおかげで優勝することができました」と喜んだ。
「ゴルフは集中してやるのも大事ですが、友達を作ったり、いろいろな選手と交流できる楽しさもある、と伝えたかった。でも小学生たちとプレーしたら自分もすごく楽しかったので、逆にみんなから教えられた感じもありました」(笹生優花)
6歳で日本に移住してきた笹生優花は、2010年の全米女子オープンで優勝したポーラ・クリーマーをテレビで見て「私もプロゴルファーになりたい」とゴルフにのめりこんだ。小2の夏休みに、42日間フィリピンでゴルフ漬けの日々を送るなかで、一回も途中で帰りたいと言わなかったと父・正和さん。しかし「世界一のプロを目指すなら他のいろいろなことを諦めなければならない」という言葉を飲み込み、小学3年生でフィリピンに再移住。
毎日のハードな練習をこなすも、13歳で出場したUSGAの主催する大会では、タイのパティ・タバタナキットやアンドレア・リーにドライバーの飛距離を数十ヤードオーバードライブされた上に、スコアでも負けて打ちのめされたという笹生。これをきっかけに、親子で朝5時からのトレーニングを始めたという。「今まで以上に厳しいトレーニングや練習をしなければならないが、娘に嫌われたくはない」と正和さんと優花は「練習が終わるまでは親子ではない」と誓約書を交わしたという。
「ゴルフに対する情熱があるから続けられた」と、その努力は一年、二年、五年と続き、あるとき過去に負けた二人を負かす日が訪れた際には「あのときのかたきはうった。親子でやってきたことが間違いではなかったと確認した」と正和さんはジュニアゴルファーの親御さんに向けた懇親会で話した。親御さんからも指導法や壁に当たった際の乗り越え方など、積極的な質疑応答が行われた。ストロークプレーの表彰式の後の笹生優花との質疑応答では、アメリカと日本のコースの違いやスタート前の練習で考えていること、日々のパットの練習法などジュニアゴルファーからの質問に丁寧に答える姿が印象的だった。
テレビ中継のラウンド後のインタビューでは「楽しみます、楽しんでできたからよかったと思います」と言葉少なくコメントすることが多いことを司会者から聞かれると
「スコアが良くても悪くてもゴルフは楽しい、だからゴルフを続けている。だから頑張れる。ゴルフを始めたころの楽しい気持ち、その気持ちをいつも忘れないようにしたくて毎回話すようにしています」(笹生優花)
「どこにいようと、どこに住んでいようと、どこでゴルフしてようとゴルフでつながっていられる。プロにならなくても、ゴルフではなくても、自分の好きなことを楽しいと思って続けてもらえれば」笹生優花の伝えたかったことはジュニアゴルファーにしっかり伝わったことだろう。
取材協力/飯能ゴルフクラブ