ジャスティン・トーマスが初めて生タイガーに遭遇したのは8歳のとき。全米オープンの舞台にもなったトーリーパインズのジュニアイベントに出向いたトーマスはタイトリストのキャップを被りタイガーの組がやってくるのを今や遅しと待っていた。
「8番から9番に向かうところで(前が詰まっていたので)少し待ち時間があったんです。僕は自分の存在に気づいてもらいたくて当時キャディをしていたスティーブ(ウィリアムス)の隣に立ちました。で、タイトリストのキャップを脱いでそれとなく前に持った。キャップを脱がなかったら何も起きないような気がしたので。するとスティーブが僕をちらっと見てキャディバッグからボールを取り出してくれたんです。あのときはじめてタイガーと目が合った。それが初対面の瞬間でした」
今では聞きたいことは何でも質問できるほど親しくなったが、タイガーは基本的にそっけなく「ぶっきらぼうな短い言葉しかかけてくれない」と苦笑いするトーマス。「でもそれがとてもスイートなんです」
スピースにはゴルフを真剣に志すきっかけになったことがある。それは05年にタイガーがクリス・ディマルコをプレーオフで破り4度目のグリーンジャケット(マスターズ優勝)に袖を通したときのこと。
「16番でタイガーがチップイン(グリーン奥から90度近く曲がるライン)を決めた瞬間、稲妻に打たれたように、僕もこのスポーツで生きていく、と決めました。11歳か12歳だったと思います。将来を決めるきっかけとなったもっともカッコいいシーン。鳥肌が立ちました」
「憧れの人(タイガー)と一緒にプレーする夢が叶ったのは13年のプレジデンツカップ。チームメイトとして一緒にプレーしたあのルーキーイヤーの出来事は“ついに僕もここまで来たか”と感動で胸がいっぱいでした」
北アイルランド出身のマキロイは「子供のころからタイガーのようになりたくて毎週末の夜は必ずPGAツアーの中継を見るためテレビにかじりついていました」という。
生タイガーを拝むことができたのは02年、彼が13歳のとき。WGCの大会が初めてアイルランドで開催されたときに実際にプレーを見て「完全にノックアウトされました。ゴルフ少年にとって彼は永遠のヒーロー。トーマスもスピースもそうですが誰もがネクスト・タイガーになりたいと思っていた。そう思っても実際に彼を見たら自分たちはネクスト・タイガーになれないことに気づく。彼は唯一無二の存在だから」
つい最近「息子(チャーリー君/13歳)に飛距離を追い越された」と認めたタイガーは、笑顔を浮かべながら後輩たちの思い出話に耳を傾けていた。