●アドレスしてから7秒以内……。
アマチュアの皆さんのプレーを見ていると、遅くなるのはティーイングエリアとグリーン。2打目、3打目でスロープレーになることはほとんどありません。測定器で測る時間がかかるという人もいますが、それはたかが数秒。では、ティーでなぜ遅くなるのかといえば会話が多いことです。話が弾むのはエンジョイゴルフでは大切な要素でしょうが、あまりにムダ話が多い気がします。また、グリーンでは、メンバーなのに毎回同じシチュエーションでラインを尋ねている人。キャディさんも答えてはいますが、内心ウンザリしているのではないでしょうか。また、グリーンで自分の番になってから手袋を外す人がいますが、グリーンオンした時点で外しておくこともできますよね。あと、打つ前からミスすることを考えている人もいますね。ともかく打って、もしミスをしたら、それから考えるというのが順序です。僕自身はアドレスしてから7秒以内に打つことをリズム、テンポにしています。これは練習でつくりあげることで、リズム、テンポのいい人はスロープレーにならないだけでなく、間違いなく上達します。(髙橋勝成、プロゴルファー)
●素振りが多い人は最近減ってきたように思いますが、ミスショットした後に反省素振り(?)をして、カートに戻るのが遅い人、あれは地味にイヤですね。(40代男性、神奈川県)
●前の組が「遅いなー」と思って見ていたら……6人いた! どうやら3人、3人で予約を取り、途中で合流したらしい。そりゃあ遅くなるわ。(50代男性、千葉県)
●「あなたは自分だけの時間でなく、一緒の組の人の時間も奪っている」
スロープレーだと指摘する人がいなくなりました。ビギナー同士、仲間だけで回っていると、何がスロープレーなのかわからなくなります。昔は先輩から「ともかくクラブ2、3本持って走れ」と言われたものですが、そういう人と回らないからわかりようがないんです。また日本では追い越しの文化がない。ゆっくりプレーしたい人は後続組にどんどん追い越してもらえばいいのですが、オートカートでそれもできない。カートに鍵をつけておいて、選択させればいいと思いますがね。あと、同じパーティでも早い人ではなく遅い人に合わせることになりがち。やはり、ここは遅い人に注意すべきでしょうね。アメリカ人なら「あなたは自分だけの時間でなく、一緒の組の人の時間も奪っている」と必ず言ってきますよ。そういう文化もつくっていく時期だと思いますよ。(タケ小山、プロゴルファー・テレビ解説者)
●慎重にプレーするより直感でプレーしたほうが、早いし上手い!
若いときは自分もプレーが遅かったですよ。経験が少ないので、直感やフィーリングより分析や理論などに頼ろうとする。それが“正しい答え”を出せる道程だと思うんですね。グリーン読みにしても、1ミリの芝によってどう転がるか、そんなものは理屈で読み切ることはできないのに、若いときはそれが可能と考えてしまう。プレーが遅くなる原因がそこにあると思います。仲のいい手嶋(多一)がレギュラーツアーの若手と練習ラウンドしたら6時間かかったと言っていました。しかし、分析とか理屈は直感に敵うわけがないと悟るときがあります。これは口幅ったいことになりますが、ツアーで何度か優勝争いした経験がない者でないとわからないでしょうね。慎重に分析しながらラウンドするより直感でプレーしたほうがスコアも良くなることが多いという事実をね。だからシニアになるとプレーが早くなるんです。アマチュアの人に助言するなら、早くプレーするリズムやテンポを身につけるほうが上達が早いということです。練習でそういう“癖”をつけることが肝心。素振りするなら軽く1回、構えたらすぐ打つことで体がリラックスするという癖をつけるといいですね。(水巻善典、プロゴルファー)
●自分以外の3人がそれぞれ最新の距離計測器を使っていて、みんなそれに夢中でずーっと測定中。いつまで測っているんだ、とプンプン!(50代男性、埼玉県)
●コンサルタントの仕事で18ホールをオートカートにした経験がありますが、プレーが早くなったかは疑問。というのも、フェアウェイが広くカートから遠い位置にボールがあると、横に歩く時間が長く時間の節約になかなかなりません。カートをプレーファストにつなげようと思うなら、フェアウェイ乗り入れのほうが効果がありそう。ほかにも「12ホールコース」もアリでは。どのコースも18ホール、パー72にこだわりすぎでは。(ゴルフコンサルタント、70代)
●50Y以内は計測器を使わないこと。
修業時代、鬼才と謳われた戸田藤一郎さんからグリーンでの所作について教わったことがあります。「グリーンに上がったらウロウロするな。時間の無駄遣いや。ラインを読むのはグリーンに上がった時の“第一感”がいちばん正しいんや」このことは今でも覚えていて、スロープレーの戒めとしています。最近のアマチュアのゴルフを見て思うのは、50Yからでも計測器を使うことです。この距離なら、見る、風を肌で感じる……など、五感を使うのが楽しみなのに、デジタルの距離だけわかってもゴルフの楽しさが損なわれるし、同時にプレーファストも阻害してしまうと思うんですがね。(鈴木規夫、プロゴルファー)
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号「山を動かす。ゲッ!どうして起こるスロープレー」より