小祝さくらはスロープレーをしない。“プレーファスト”がしっかりと身についている。それはおっとりしていることと全く関係ない。時間をムダにしたくないタイプなのだ。だから時間管理もきっちりとしている。常に余裕を持った行動を心がける。マネージャーに翌日のスケジュールを「〇時に出発、〇時からパッティング……」とラインで詳細に伝えるが、いつもそれより早く行動してしまう。マネージャーが、さくらが20分前に集合場所へ来ることを予測して30分前に行くと、すでにさくらはここにいる。「あ、ゆっくりで大丈夫ですよ」と微笑むさくら。自分が急かされたり、慌てることがきらいなのだ。
意外と、段取りもしてくれる。食事に行くお店を予約したり、“焼肉奉行”でもある。お肉もすすんで焼いてくれ、皆に配りながら、自分もきちんと食べている。「でも、ホルモンって焼けたタイミングがなかなかわからないじゃないですか。この前焼けたかどうかわからないまま、気づいたら食べちゃってました(笑)」。
2年くらい前から行っているルーティン
毎日のルーティンもきちんと決まっている。「試合開始の約2時間前からストレッチをします。そしてコースに向かい、着いたら1時間半前から練習を開始する感じですね。まずパター練習場に行って20分、アプローチ・バンカーで20分、そこからショットの練習を30分、最後にもう一度パット練習を20分です。だいたい決めています」。2年くらい前から行っているルーティン。体に染みついているから、数字もすらすらと出てくる。「自分で決めました。リズムがいい感じになるんです。ショットの練習は、58度、50度、48度を打ってから、ピッチング、7番アイアン、5番アイアン、4U、3番ウッド、ドライバー、とこれもだいたい決まっています」
どんなことも自分で決めたらゆるがない、そんなところも小祝の強さだ。試合中も、使う番手などはキャディと相談するが、悩んだときは結局、自分で決める。ミスの修正も、自分なりに考えて行動にうつすことができる。「自分が思い描く通りに打てていたらいいんですけど、思い描く球が出ないときは、『この間、これで上手くいったので試してみよう』なんてやってみたりします。なかなか見つけ出せないことも多いんですよ。でも、試合中は自分とキャディさんしかいませんから、最終的には自分で考えてやっています」。今日もキビキビと行動するさくらを見ていると、清々しい気分になってくる。
こいわい・さくら。1998年北海道生まれ。ニトリ所属。8歳でゴルフを始め、17年のプロテストで合格。19年初優勝、昨季は5勝、2022年は2勝。つねに「黄金世代」を引っ張る存在。「私が連載なんて、自信はないですが、普段通りで行きます」
※2022年週刊ゴルフダイジェスト11月15日号より(撮影/大澤進二、イラスト/オギリマサオ)