冬になりコースの芝が薄くなると、アプローチは急に難しく感じるものだ。そんなゴルファーのために、FWやUTの活用法をプロに聞いてみた。「ダフるのが怖いならSWを使わなければいいんです」(堀越プロ)
画像: 堀越良和プロ/週刊GD連載「ギア選びのウソホント」でもおなじみの通称”キング・オブ・試打”。ギアだけでなくフィジカルにも精通するプロ

堀越良和プロ/週刊GD連載「ギア選びのウソホント」でもおなじみの通称”キング・オブ・試打”。ギアだけでなくフィジカルにも精通するプロ

鮮やかなグリーンだった芝が茶色に枯れてくると、SWを持つ度に憂鬱な気持ちになるというゴルファーは多いだろう。「ダフリやトップが出そうで嫌だな」というのが、その理由なのだが……。

「ダフるのが怖いのであれば、思い切ってSWを使わなければいいんですよ」というのは、堀越良和プロだ。

「芝が薄いと、どうしてもダフるのが怖くなる。それを意識し過ぎると、今度はトップしてしまう。さらにダフらないようにと、ボール位置を右足の前に変え、ハンドファーストを強めにして、ヘッドを鋭角に入れるようになると、ますますダフりやすくなってしまいます。この冬芝の“負のスパイラル”に陥ってしまう方は多いですね。ハンドファーストを緩めて、ヘッドをスウィープに入れ、バウンスを使えるとダフりにくいのですが、打ち方を変えるのはコース上ではなかなか難しいもの。それならSWを使わないという選択をすれば、少なくともこの負のスパイラルから抜け出すことができます」

SWを使わないのであれば、どのクラブを使うべきなのか。

「最初に候補となるのは、パターです。たとえば花道。寄せワンを狙うには絶好のポジションですが、冬になると芝が薄いのでダフりやすいポジションともいえます。そんなときはパターで転がすのが安全です。少なくとも大きなミスにはなりにくいでしょう。ただ、パターが使える状況というのは限られます。というのもパターはグリーン上で使う前提で作られているので、上下の打点のブレには弱いからです。カラーとラフの境目にボールが止まることは意外と多いですが、この場合、安易にパターを選択すると、手前の芝が邪魔になってトップしてしまうことが多いので注意が必要です。ではどのクラブで打てばいいのか。私がオススメするのはFW・UTです。ソールが広くヘッドのボリュームもあり、フェースもパターよりも厚みがあるので、手前の芝の抵抗をパターほどは受けずに打つことができるからです。このように、まずはパターで打つことを考え、それが無理ならFW・UTを使うことを考えましょう」

まずは、状況別に、どのクラブでアプローチするのがいいのか、を考えてみた。

状況①グリーン手前の花道 ⇒ 芝が短ければパター、長ければFW・UT

画像: 花道は絶好のポジションに感じるか、芝が薄い冬にはダフリやすい状況にもなる。芝が短く抵抗が少ないのであれば、パターでいけるが、長めで抵抗がある場合はFWやUTを選択しよう

花道は絶好のポジションに感じるか、芝が薄い冬にはダフリやすい状況にもなる。芝が短く抵抗が少ないのであれば、パターでいけるが、長めで抵抗がある場合はFWやUTを選択しよう

状況②土が露出したラフ ⇒距離があればFW・UT、短ければパターでもいい

画像: 冬になるとグリーン周りの地肌が露出したライにボールが止まることもある。この場合は、グリーンまでの距離が短ければパター、長ければFW・UTを選択するといいだろう

冬になるとグリーン周りの地肌が露出したライにボールが止まることもある。この場合は、グリーンまでの距離が短ければパター、長ければFW・UTを選択するといいだろう

状況③バンカー越え ⇒さすがにこの場合はSWで打つのが賢明

画像: バンカー越えの状況は、さすがにパターやFW・UTで打つのは難しい。ここは素直にSWなどのウェッジで打つしかない。ピンが奥で距離があればFW・UTという奇策もアリ

バンカー越えの状況は、さすがにパターやFW・UTで打つのは難しい。ここは素直にSWなどのウェッジで打つしかない。ピンが奥で距離があればFW・UTという奇策もアリ

状況④カラーとラフの境目⇒パターはトップしやすい。FW・UTを使おう

画像: カラーとラフの境目にボールが止まることは意外と多い。この状況でパターを握ると、手前のラフの芝が邪魔になりトップすることが多いので、FW・UTを使ったほうがいい

カラーとラフの境目にボールが止まることは意外と多い。この状況でパターを握ると、手前のラフの芝が邪魔になりトップすることが多いので、FW・UTを使ったほうがいい

FW・UTは短く握って、ボールの近くに立つ。少しヒールを浮かせて構えよう!

FW・UTでアプローチするには、どうやって打てばいいのか。

「難しく考える必要はありません。よくパターのように打てばいいということを耳にしますが、もちろん、それで打ちやすいのであればそれでも構いません。でも私はもう少しシンプルな打ち方をオススメします。というのもパターとFW・UTではヘッドの重さがけっこう違います。パターのほうが重く、FW・UTのほうが軽い。クラブ全体の重量もそうです。でも、FW・UTはフェースの反発力が高いので、ボールの勢いは強くなります。これが距離感を合わせづらい原因です。簡単にいえば、FWやUTでアプローチすれば、思ったよりも転がるということです。パターと同じ打ち方をすると、そのギャップを埋めるのに苦労すると思います」

では、堀越プロがオススメする打ち方を教えてもらおう。

「まずはFW・UTをウェッジと同じくらい短く握ること。右手はシャフトを握るくらいです。余ったシャフトは左わきに逃がします。これで少しハンドファーストになります。そしてボール位置は体の真ん中で、ややアップライトにしてボールに近く立ちます。ほんの少しヒールを浮かせる感じになるので、わずかにトウ寄りに構えます。あとはテークバックで右ひじを体から離さないように打てばいい。これだけです。ハンドファーストになっているので、やや上からヘッドが入りますが、意識してやる必要はありません。フォローも意識して取らなくていいです」

とてもシンプルな打ち方なのがわかるだろう。FWとUTはどちらを使えばいいのか。

「状況にもよりますが、ボールに勢いが必要なときはFW、少しキャリーがほしいときはUTがいいと思いますが、クラブが短いUTのほうが打ちやすい人は多いので、まずはUTから試してみるといいでしょう」

大きな武器になるFW・UTのアプローチ。ぜひ試してみよう

画像: 右手はシャフトを握るくらい短めにグリップする。右ひじを体から離さずにコンパクトに振っていこう。意識して、ヘッドを上から入れず、イメージとしては、ソールを滑らせてレベルに振るくらいでちょうどいい。

右手はシャフトを握るくらい短めにグリップする。右ひじを体から離さずにコンパクトに振っていこう。意識して、ヘッドを上から入れず、イメージとしては、ソールを滑らせてレベルに振るくらいでちょうどいい。

短く握って余ったシャフトは左わきに逃がしてアドレスする

画像: 極端に短く握ると余ったシャフトがお腹に当たってしまうが、左わきに逃がしてアドレスするとスムーズに振れるはず。構えはややハンドファーストになり、ヘッドのヒール側が少し浮く感じになる

極端に短く握ると余ったシャフトがお腹に当たってしまうが、左わきに逃がしてアドレスするとスムーズに振れるはず。構えはややハンドファーストになり、ヘッドのヒール側が少し浮く感じになる

※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号「SWを使わない冬芝アプローチ」より

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