小祝さくらは2022年からケアベア(Care Bears)を集めている。コーチとなった吉田直樹プロと行く練習場を見て、“ひとめぼれ”した。2022年の1勝目、リゾートトラストレディスで優勝したときに、「優勝したら買おうとしたものがあったので、今回優勝できて嬉しいです。ケアベアのぬいぐるみです」とうれしそうに話をした。「昔から好きではあったんです。今週からヘッドカバーもそれに替えたんですけど、15個以上は持っています。全種類集めたくて。でも、全種類集めると何万円もする。だから、成績をきちんと出してから欲しいものを買おうと決めています」。1億円以上の賞金を稼いだプロゴルファーとしては、ささやかな自分へのプレゼントである。
小祝さくらは堅実だ。それに、ものを大事にし、整理整頓もきちんとする。ケアベアのヘッドカバーが少しほつれてきたら縫って修繕するし、汚れたらきちんとクリーニングに出す。遠征先のホテルでも、自分の持ち物を広げっぱなしにするようなことはなく、部屋はきちんと片付いている。化粧品もテーブルにきれいに並べている。そのルックスにたがわず“古風”なのである。そしてこういった習慣で運気が上がるとも考えている。
トイレ掃除は、自宅でも、ホテルでも、コースでも
「優勝するときもそうですが、いい流れのときは、無意識にすべてが上手くいくものだと思うんです。それにはラッキーも含まれていますし、そういう感覚を何回も経験できれば、優勝も引き寄せられるようになるのかなと思います。実は私、運を呼び寄せられると聞いたのもあり、トイレや、水回りの掃除はけっこうするんですよ。自宅やホテル、コースでもやります」。小祝は試合のあとのコメントでもよく、“流れ”の大事さを口にする。「ボギーをたたいて流れが悪くなりました」「とれるホールでしっかりとって、耐えるホールで耐えていく。そうすると流れができます」「パッティングを練習するのは、流れができるからです」この“流れ”は、日常生活から自分でつくるものなのだ。
恵方巻を食べるときは、その年「吉」となる方角を向いて食べる。四葉のクローバーを意識して集めたりもする。遠征先で採りに行くこともあるし、それをラミネート加工して、キャディバッグに入れていたりもする。ルーティンも変えない。試合前の過ごし方はもちろん、ショット前もどんなに雨が降ろうが風が吹こうが、かたくなに守る。そんなとき、さくらは木になるのだろう。ブレない、しなやかでおだやかな木になって、ゴルフや人生の流れを引き寄せる。
こいわい・さくら。1998年北海道生まれ。ニトリ所属。8歳でゴルフを始め、17年のプロテストで合格。19年初優勝、昨季は5勝、2022年は2勝。つねに「黄金世代」を引っ張る存在。「私が連載なんて、自信はないですが、普段通りで行きます」
2022年週刊ゴルフダイジェスト12月27日号より(写真/阿部了、イラスト/オギリマサオ)