サッカー、ワールドカップでリオネル・メッシ率いるアルゼンチンが激戦を制し優勝。アルゼンチンを代表するプロゴルファー、カブレラはいまどこに？（写真は2014年全米オープン 撮影／岡沢裕行）
母国勝利の瞬間、カブレラは塀の中にいた。そう、刑務所にいたのだ。じつは彼、元妻と元パートナーに暴行、脅迫、嫌がらせをしたとして訴えられ裁判を控えていた昨年、出国禁止にも関わらずブラジルに渡航。国際手配となりインターポールがリオデジャネイロに滞在中のカブレラを拘束。6月にアルゼンチンに移送されていた。
その後行われた裁判で2016年から18年までカブレラのパートナーだったセシリア・トーレス・マナさんへの暴行、脅迫などの罪で懲役2年の判決を受け、さらに元パートナー、ミカエラ・エスキューデロさんへの暴行の罪でさらに禁錮2年4カ月が言い渡され現在服役中なのだ。
07年の全米オープンではタイガー・ウッズに1打差の勝利を挙げ09年のマスターズでは三つ巴のプレーオフを制してアルゼンチン人とした初めてグリーンジャケットに袖を通した。また13年にもマスターズでアダム・スコットとプレーオフを戦い敗れたもの雨の中の死闘と勝者を讃えるスポーツマンシップは今でも語り継がれている。
コースで会うと“人のいいおじさん”にしか見えなかったカブレラにそんな暴力的な一面があったとは意外だが、収監されている今、街角やスポーツバーで母国の英雄たちの勝利を喜ぶ歓喜の輪に入ることはできない。
貧しい家庭に育ち、糊口をしのぐためキャディになったことがきっかけでプロに転身した苦労人。本来なら今頃米チャンピオンズツアーで往年の名プレーヤーたちと名勝負を繰り広げているはず。そう思うと残念だが、願わくば自らの行いを反省しきっちりと罪を償い再出発して欲しいものだ。彼が紡いだ数々の栄光は決して消えることはない。
