記録ずくめの圧倒的な強さ
「目標が全部達成できた」ー山下美夢有ー
昨年、後半戦に失速した経験が生きた
昨シーズンは4月のパンテリンレディスで初優勝するなど、春先から好調だったが、夏に入ると食が細くなり調子を落としてしまったという。その苦い経験を生かし、今年は夏場から栄養士を付け、両親も帯同して食生活を徹底管理。体重を落とさないよう、ときには無理にでも食べさせたことで後半戦に大爆発。8月以降の15試合で昨年より1億円以上多い賞金を獲得する活躍を見せ、年間女王と賞金女王のダブルタイトル獲得につなげた。3月から11月まで、全国を転戦する長丁場のシーズン。技術だけでなく体力面も重要なポイントになるが、家族で力を合わせ、最後まで乗り切った。
4日間大会で無類の強さ
15戦中トップ5が13回
ダイキンオーキッド 4位タイ
サロンパスカップ 優勝
ブリヂストンレディス 3位タイ
サントリーレディス 優勝
アース・モンダミン 4位
資生堂レディス 5位タイ
ニッポンハムレディス 4位タイ
大東建託・いい部屋ネット 5位タイ
ニトリレディス 2位タイ
日本女子プロ 2位
日本女子オープン 3位タイ
TOTOジャパンクラシック5位タイ
リコーカップ 優勝
大躍進の陰にクラブあり
山下美夢有を支えたギア
開幕戦はパター以外、昨年の初優勝時と同じ13本で挑んだ山下。だが、思うような結果が残せず、4月のバンテリンからパナソニックまで3戦連続予選落ちを喫し、苦しい前半戦になった山下。サロンパスカップでは早くも4本目となるパターを投入。試行錯誤を繰り返すもこれがハマって、メジャーで今季初優勝を飾ると、以後このパターがエースパターに。サントリーレディス、ミヤギテレビ杯もこのパターで優勝。信頼できるギアに出合えたことで成績がアップ。苦戦した前半戦での今季初優勝や後半戦の大爆発に繋がった。
開幕9戦では4本のパター投入
オデッセイ「ホワイト・ホットOG 2-BALL BLADE」で流れが変わった
三菱電機レディスから大阪の地クラブ「リアライズ」のパターに
春にはブレード型しかなかったが、マレット型の製作を依頼して、それが完成したことで実戦投入。最終戦リコーカップでは、同モデルのミーリングを調整したものを使用した
ミヤギテレビ杯から新ドライバー投入
10戦3勝、圧巻の強さ
昨年からドライバーはスリクソンZX7、FWはスリクソンZXをずっと使用していたが、シャフトはそのままにヘッドを最新モデルにチェンジ。「コースでも前のドライバーと新しいドライバーで2球
打って、新しいほうがミート率もよく、風にも強かったので、今週から使おうと思いました」と、初投入した試合で見事優勝を果たした。
その後UTも最新クラブにチェンジしたが、アイアンだけは昨年と同じモデルを継続使用。新ドライバーは8.5度と9.5度の2本をコース形状によって使い分けた。
21歳103日
史上最年少で年間女王獲得
2007年に上田桃子がエリエールレディスで女王を決めた21歳156日を更新して、最年少で年間女王を獲得。上田よりも1試合早い、伊藤園レディスで達成。
2億3502万967円
最多獲得賞金額更新
統合された20-21年シーズンを除き、年間での最多獲得賞金額だった2015年のイ・ボミが記録した2億3049万7057円を約460万円更新した。
69.9714
日本人初の平均ストローク60台
外国籍選手では申ジエが19年に記録しているが、日本人選手では初。最終戦で19アンダー以上なら申ジエを抜いて新記録だったが、惜しくも更新ならず。
60
PAR72の最小ストローク更新
ミヤギテレビ杯初日に12バーディ、ノーボギーの「60」を記録。12年サントリーでキム・ヒョー
ジュ、21年ブリヂストンで稲見萌寧が記録した「61」を抜いた。
21年
8月以降15戦中トップ10は4回
獲得賞金:2269万5300円
↓
22年
8月以降15戦中トップ10は11回
獲得賞金:1億2274万8967円
2022年メルセデス・ランクの順位変動
激動の38試合を振り返り!
開幕戦からスタートダッシュを決め前半戦を独走した西郷真央、序盤の不調から盛り返し意地を見せた昨年の女王・稲見萌寧、賞金ランクで2位に入った西村優菜。新女王・山下との激闘の1年を振り返ってみよう
1|ダイキンオーキッド
最終日に5打差を逆転西郷真央がプロ初優勝
最終日を「67」で回った西郷が逆転でプロ初勝利。山下も西郷と同じく「67」をマークして4位タイでフィニッシュ。試合後には同級生の山下と2歳年上の稲見が西郷を祝福した。
5|ヤマハレディース
開幕5戦で西郷が3勝。後続を一気に引き離す
西郷は開幕戦のあと2位タイ、10位タイに入りアクサレディスから2戦連続優勝。次のスタジオアリスは2位タイ、パナソニックで優勝して序盤のリードは盤石の体制に。
10|サロンパスカップ
3戦連続予選落ちから山下美夢有が今季初勝利
山下はバンテリンレディスから3戦連続予選落ちを喫するが、初日に8アンダーで首位に立つと、一度も首位を譲ることなく完全優勝。メジャーで今季初優勝を果たした。
14|ヨネックスレディス
14戦目にしてようやく昨年の女王・稲見が優勝
昨季からの腰痛や左手首痛に悩まされていた稲見が約7カ月ぶりに今季初勝利。試合前まではポイント2位だった山下を抜いて、稲見が6位から2位にジャンプアップした
15|サントリーレディス
山下が逆転優勝またしても4日間大会
首位と4打差で最終日を迎えた山下は、4アンダーとスコアを伸ばし首位タイでホールアウト。首位で並んだ最終組の藤田さいきが18番をボギーとしたことで逆転優勝。
16|ニチレイレディス
勝ちきれなかった西村が今季初優勝
開幕戦から上位には何度も顔を出すも、優勝しきれなかった西村。フジサンケイ、リゾートトラストを休場、自身13戦目で今季初勝利。3戦後のニッポンハムで2勝目を挙げた。
25|ニトリレディス
稲見が今季2勝目。山下が逆転して首位に
2打差の2位タイから出た稲見が最終日に逆転して優勝。山下、西村は2位タイに。西郷が予選落ちを喫したことで、ポイントランキングで山下が西郷を逆転して首位に立った。
29|ミヤギテレビ杯
初日にツアー記録「60」。山下が完全優勝
初日に12アンダーで首位に立つと、2日目終了時点で2位に8打差をつける圧倒的な展開に。最終日は1アンダーと苦しんだが、それでも5打差をつけて完全優勝を果たした。
36|伊藤園レディス
今季4勝目で山下の年間女王獲得が決定
最終日に上田桃子を逆転して今季4勝目。ポイントランク2位の西郷が7位タイに終わったため、最年少での年間女王が決定。獲得賞金額も史上6人目となる2億円を突破した。
38|リコーカップ
山下が最終戦も制し年間獲得賞金額更新
最終日を首位タイで迎えるものの7アンダーと爆発した勝みなみに追いつかれプレーオフに突入。1ホール目に山下がバーディを決めて優勝。様々な記録を更新することになった。
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20号「山下美夢有の1年」より
(PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara)